「使用権資産」とは
使用権資産とは、リース契約で借りている物を、契約期間中に使える権利として、借り手が貸借対照表に資産として計上したものである。
📌 投資判断のポイント
リースで借りている物を使う権利として、借り手が資産に計上したもの。将来の賃料に当たるリース負債と両建てになり、総資産や自己資本比率の見え方を変える
使用権資産はどういう仕組み?
従来の日本の会計では、オフィスや店舗の賃貸借のように実質的に借りているだけの契約は、支払った賃料を費用にするだけで、貸借対照表には載らなかった。国際的な会計基準では、借り手はほぼすべてのリースについて、使う権利を「使用権資産」、将来支払う賃料の現在価値を「リース負債」として両建てで計上する。日本でも企業会計基準委員会が2024年9月に新しいリースの会計基準を公表し、2027年4月1日以後に始まる事業年度から適用される。使用権資産は契約期間などにわたって減価償却され、リース負債には利息の費用が生じる。
使用権資産の具体例と注意点は?
例えば店舗を多く借りている小売業や外食業では、新しい基準の適用で総資産と負債が大きく増えることがある。その結果、自己資本比率や総資産利益率は低く見え、支払っていた賃料の一部が減価償却費と支払利息に置き換わるため、償却前の利益を示す指標は大きく見える。事業の中身は変わっていないのに指標が動くので、基準の切り替わる前後で比べるときは注記で影響額を確かめたい。短期のリースや少額のリースには、計上しない簡便な扱いも認められている。
リース負債との違い
使用権資産は「使う権利」という資産側の項目で、リース負債は「払う義務」という負債側の項目である。契約の最初はおおむね同じ金額で計上されるが、その後は資産が減価償却で、負債が支払いと利息の計算で減っていくため、残高は一致しなくなる。両者を合わせて見ると、借りている物の規模と残りの支払いの重さが分かる。
決算書を読むときの注意点
国際的な会計基準を使う日本企業では、すでに使用権資産が貸借対照表に載っている。日本の基準を使う企業と比べるときは、総資産の大きさや自己資本比率が基準の違いで数ポイント変わることがあるため、注記にある使用権資産とリース負債の金額を足し引きして条件をそろえると比べやすい。例えば年間の賃料が10億円、残りの契約期間が10年の店舗網なら、数十億円規模の使用権資産とリース負債が新たに載る計算になる。
関連用語
借りている店舗やオフィスの支払い義務を、借入金と同じように負債として見せる考え方。基準の切り替えで負債が増えて見えるため、年をまたいで比べるときは表示の変更を確かめたい。
IASBが定める国際的な会計基準で、日本では2010年3月期から任意適用が可能。2022年8月末時点で267社が適用・適用予定で、のれんを償却しないなど日本基準と違う点がある。
減価償却費は設備投資を期間配分する費用。利益とキャッシュフローの差を理解する鍵になる。
自己資本比率は企業の財務安全性を見る基本指標。業種差を踏まえて読む。
企業の総資産を使ってどれだけ利益を出したかを示す指標。ROEと併用することで、企業の本当の効率や財務構造が見える。
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