「退職給付引当金」とは
将来、従業員に払う退職金や企業年金のうち、すでに働いた期間に対応する分を負債として見積もったもの。個別の決算書で使われる名称である。
📌 投資判断のポイント
将来の退職金の約束を、今の負債として数えたもの。前提の割引率や年金資産の運用で額が動くため、従業員の多い会社では純資産と比べた大きさを一度確かめておきたい。
退職給付引当金はどういう仕組み?
会社が退職金や確定給付型の企業年金を約束している場合、従業員が働くたびに将来の支払い義務が少しずつ積み上がる。この義務を、割引率や昇給率などの前提で現在の価値に直したものが退職給付債務で、そこから年金資産(外部に積み立てた資産)を差し引いた不足分を負債に計上する。個別の財務諸表ではこれを退職給付引当金と呼び、連結財務諸表では「退職給付に係る負債」として表示する。毎期の費用は退職給付費用として損益計算書に計上される。確定拠出年金のように会社が掛金を払えば義務が終わる制度では、この引当金は生じない。
退職給付引当金の具体例と注意点は?
従業員の多い製造業や、古くからの大企業では、この負債が純資産に比べて大きいことがある。割引率が下がると退職給付債務がふくらみ、年金資産の運用が振るわないと積立不足が広がるため、金利や株価の動きで負債の額が変わる点に注意したい。有価証券報告書の注記には、退職給付債務・年金資産・前提とした割引率が書かれているので、負債の大きさだけでなく前提の置き方も確かめると、隠れた負担を読み違えにくい。
退職給付引当金と退職給付債務の違い
退職給付債務は、将来払う退職給付のうち、決算日までに働いた分を現在の価値に直した総額である。退職給付引当金は、そこから外部に積み立てた年金資産を差し引いた、会社がまだ準備できていない不足分にあたる。退職給付債務が100億円、年金資産が70億円なら、不足の30億円が負債として計上されるイメージである。
決算書での読み方
割引率がわずかに下がるだけで退職給付債務は大きくふくらむことがある。例えば平均の支払いまでの期間が長い会社では、割引率が0.5%違うだけで債務の額が数%動く。有価証券報告書の注記で、割引率の前提と、年金資産の運用の内訳を確かめておくと、将来の負担の振れ幅を想像しやすくなる。
なお、日本では確定給付型から確定拠出年金へ制度を移す会社も多く、移行の年には退職給付債務が減って特別利益や特別損失が出ることがある。制度変更の注記があれば、その年の利益を読むときに差し引いて考えたい。前提が変わった年は、前年との単純な比較が難しくなる点にも気をつけたい。
関連用語
企業分析 の他の用語
🏷 関連タグ
⚠️ ご利用にあたって
本用語解説は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任で行ってください。