「残余利益モデル」とは
株主資本コストを上回って稼いだ利益の積み上げから、企業の理論的な価値を求める評価手法です。
📌 投資判断のポイント
純資産に、株主資本コストを上回って稼いだ超過利益の現在価値を加えて企業価値を求める手法。PBRが1倍を超える理由を理論的に説明できる。
詳しい仕組み・意味
残余利益モデルは、企業価値を「現在の自己資本」と「将来生み出す残余利益の現在価値の合計」の和として捉える手法です。残余利益とは、当期純利益から株主が期待する最低限の利益、すなわち自己資本に株主資本コストを掛けた金額を差し引いた超過分を指します。自己資本利益率が株主資本コストを上回っている限り残余利益はプラスとなり、理論的な価値は1株当たり純資産を上回ります。これがPBRが1倍を超える理由の理論的な説明になります。配当割引モデルやDCF法が将来のキャッシュフロー予測に強く依存するのに対し、残余利益モデルは価値の大部分を貸借対照表上の純資産が占めるため、予測誤差の影響を受けにくいとされています。
具体例・注意点
1株当たり純資産が1,000円、自己資本利益率が10%、株主資本コストが8%の企業であれば、超過収益の分だけ理論価値は1,000円を上回ります。逆に自己資本利益率が株主資本コストを下回る企業は理論上PBRが1倍を割り、資本効率の改善が課題として指摘されます。株主資本コストの前提を1%変えるだけで結論が動くため、単一の数値を答えとせず、前提を変えた幅で捉えることが欠かせません。実務では証券会社のレポートで理論株価の算出根拠として用いられることがあり、前提となる資本コストの水準もあわせて示されているかを確認すると読み解きやすくなります。
関連用語
株主資本を使ってどれだけ効率よく利益を出したかを示す指標。企業の収益力の質を測る重要な指標で、PBRとも密接に関係する。
株主が期待する最低リターンで、企業には株式調達の見えないコスト。CAPMで推定するのが一般的で、事業リスクが高いほど上昇する。配当だけでは満たされず株価上昇期待も含む。金利上昇局面では水準が切り上がる。
WACCは企業の資金調達コスト。ROICや企業価値評価とセットで使う。
1株あたりの純資産価値を示す指標で、PBRの基礎となる。資産ベースの評価軸だが、収益力とセットで判断することが重要。
株価が純資産の何倍かを示す評価指標。割安・割高の判断に使われるが、収益性(ROE)と組み合わせて見ることが重要。
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