「人件費率」とは
売上高に対して、人件費がどれだけの割合を占めているかを示す比率です。人件費を売上高で割って求め、「売上高人件費率」とも呼ばれます。人手を多く使う事業かどうかや、人件費の上昇が利益をどれだけ圧迫しているかを見るときに使われます。
📌 投資判断のポイント
売上高に占める人件費の割合で、人件費を売上高で割って求める。人がサービスを担う業種ほど高くなりやすく、賃上げが利益を圧迫していないかを見るときの手掛かりになる。
人件費率はどういう仕組み?
人件費には、従業員の給与や賞与のほか、役員報酬、会社が負担する社会保険料、福利厚生費、退職給付費用などが含まれます。どこまでを含めるかは分析の目的によって異なるため、他社や過去と比べるときは、同じ範囲で計算しているかを確かめる必要があります。
人件費率は業種によって大きく違います。介護やサービス業、外食のように人が直接サービスを提供する業種では高くなりやすく、設備や仕入れが中心の業種では低くなりやすい傾向があります。同じ業種の中で比べると、効率よく人を配置できているかどうかの手掛かりになります。
人件費率の具体例と注意点は?
売上高が10億円で人件費が3億円なら、人件費率は30%です。翌年に賃上げで人件費が3億3,000万円に増え、売上高が10億円のままなら、人件費率は33%に上がり、ほかの条件が同じなら営業利益は3,000万円減ります。売上高が11億円に伸びていれば、人件費率は30%のまま保たれます。
人件費率が低いほど良いとは限りません。人件費を削りすぎるとサービスの質が落ちたり、人材が流出したりして、売上の減少につながることがあります。賃上げが続く局面では、価格に転嫁して売上を伸ばせているかを、人件費率の推移とあわせて見ることが大切です。
労働分配率との違い
労働分配率は、人件費を売上高ではなく付加価値額で割った比率です。売上高には仕入れた商品や原材料の代金が含まれるため、仕入れの多い業種では人件費率が低く出ます。労働分配率は企業が自ら生み出した価値のうち、どれだけを働く人に配分したかを示すため、業種の違いの影響を受けにくい指標です。
人件費率を下げる方法には、売上を伸ばす、業務の手順を見直して少ない人数で回す、外注に切り替えるといった選択肢があります。ただし外注に切り替えると、人件費が外注費に置き換わるだけで、費用の総額が下がるとは限りません。人件費率だけでなく、売上高に占める外注費や営業利益率もあわせて確かめてください。
企業の決算資料では、人件費が売上原価と販売費及び一般管理費に分かれて計上されていることが多く、損益計算書だけでは合計額が分からない場合があります。有価証券報告書の注記なども確かめて、範囲をそろえて計算することが大切です。
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