清算価値

企業分析
よみ:せいさんかち
監修:所得向上委員会 編集部(編集責任者:加藤 寛) 編集方針
🗂 株価・企業を分析する ★★ 標準

「清算価値」とは

会社が事業をやめて資産をすべて売り、負債を返し終えたときに、株主の手元に残ると見込まれる価値のことです。

📌 投資判断のポイント

事業をやめて資産を売り、負債を返した後に株主に残る見込みの価値。在庫や設備は帳簿より安くしか売れないため、純資産よりかなり小さくなるのが普通。

清算価値はどういう仕組み?

貸借対照表の純資産は、資産と負債を帳簿の金額で差し引いたものです。清算価値は、資産を実際に売ったらいくらになるかで評価し直します。現金や上場株式はほぼ帳簿どおりに換金できますが、在庫は投げ売り、専用の設備はほとんど値がつかないことが多く、帳簿より低くなるのが普通です。

清算には費用もかかります。従業員の退職金の上乗せ、賃貸契約の解約費用、弁護士などの専門家への報酬が必要になり、その分も残る価値を減らします。一方、長く保有している土地や投資有価証券は、帳簿の価格より時価が高く、清算価値を押し上げることがあります。

こうした要因から、清算価値は純資産の額よりかなり小さくなるのが一般的です。PBRが1倍を下回る株価は、市場が純資産より低く、清算価値に近い評価しかしていないと解釈されることがあります。

清算価値の具体例と注意点は?

資産100億円のうち現金30億円、売掛金20億円、在庫20億円、設備30億円で、負債が60億円の会社を考えます。現金は100%、売掛金は90%、在庫は50%、設備は20%で換金できるとすると、回収額は30+18+10+6=64億円です。負債60億円を返すと残りは4億円で、帳簿の純資産40億円の1割にとどまります。

同じ純資産40億円でも、資産の大半が現金と上場株式の会社なら、清算価値は純資産に近くなります。資産の中身によって、PBR1倍の意味は大きく変わります。

使われる場面

清算価値は、株価の下値の目安を考えるほか、民事再生などの法的整理で重要になります。再建計画による弁済は、会社を清算した場合の配当を下回ってはならないという考え方があり、清算価値がその基準になります。

投資の判断に使う場合は、現金・投資有価証券・土地の含み益から有利子負債を引いた額を時価総額と比べる方法がよく使われます。在庫や設備を低く見積もるほど、下値の目安として保守的になります。

清算価値は、あくまで事業をやめる前提の評価です。事業を続けて利益を生み続ける価値(継続企業価値)がそれを上回る限り、会社は清算せず事業を続けるほうが株主にとって得になります。清算価値を大きく下回る株価は、その継続企業価値にも疑問が持たれている状態といえます。

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