「ホットハンドの誤謬」とは
成功が続いている人や商品は、この先も成功が続きやすいと思い込む心理の偏り。投資では、直近の成績がよい投資信託や運用者、銘柄に資金が集まりやすい現象として表れる。
📌 投資判断のポイント
成功が続いている人や商品は、この先も成功が続くと思い込む偏り。投資では直近の成績上位の投資信託や銘柄に資金が集まる現象として表れる。
ホットハンドの誤謬はどういう仕組み?
名前は、バスケットボールでシュートが続けて決まる選手を「手が熱い(hot hand)」と呼ぶことに由来する。1985年にトーマス・ギロビッチ、ロバート・ヴァローン、エイモス・トヴェルスキーが、プロ選手の成功の連続は偶然から予想される範囲を超えていないと分析し、観客や選手が感じる「波に乗っている」感覚は錯覚だと論じた。
その後2018年に、ジョシュア・ミラーとアダム・サンフルホが、元の分析には連続を数える方法に起因する偏りがあると指摘し、補正すると小さなホットハンドが存在する可能性を示した。現在は、実際の効果は人が感じるほど大きくはない、という理解が一般的である。
ホットハンドの誤謬の具体例と注意点は?
投資信託の評価サイトで過去1年の上位に並んだ商品は、販売額が伸びやすい。しかし運用成績の持続性を調べた研究では、上位の成績が翌年以降も続く傾向は弱く、むしろ手数料の高い商品ほど将来の成績が劣りやすいという結果が報告されている(たとえばマーク・カーハートの1997年の研究)。過去3年の成績が上位だから選ぶ、という判断は、運用の腕より偶然や市場環境の追い風を買っている場合がある。
個人の売買でも、勝ちが続いたあとに取引量を増やす行動は、ホットハンドの感覚で説明される。成績のよい時期こそ、ルールどおりの資金配分に戻すことが歯止めになる。
ギャンブラーの誤謬との違い
ギャンブラーの誤謬は、表が5回続いたから次は裏が出やすいと、連続の「反転」を予想する偏りである。ホットハンドの誤謬は、連続が「続く」と予想する偏りで、向きが逆になる。人は、対象に意思や腕があると感じるとホットハンドに、コインのように機械的だと感じるとギャンブラーの誤謬に傾きやすいとされる。
商品選びでこの偏りを避けるには、成績の期間を区切って比べる方法がある。過去1年だけでなく、3年、5年、10年の成績と、同じ期間の指数(ベンチマーク)との差を並べ、特定の年の大きな上昇だけで平均が押し上げられていないかを見る。信託報酬の差は毎年確実に効くが、成績の差が続くかは不確かであることを、判断の土台に置いておきたい。
関連用語
互いに影響しない出来事で、同じ結果が続いたから次は逆が出やすいと考える思い込み。5日続落したから明日は反発するはずという判断に表れ、回数ではなく背景の材料を確かめる必要がある
典型例に似ているかどうかで確率を判断してしまう思考の近道。全体での発生頻度や標本の少なさを見落としやすく、好成績の継続を過大に見積もる原因になる。
平均回帰は行き過ぎた価格が平均へ戻る傾向を指すが、「下がれば必ず戻る」わけではない。構造的な悪化や強いトレンド局面では平均自体が動き、回帰は起きない。逆張りの前提になる考え方だけに、何を平均とみなすかとトレンドの有無を見極めることが重要。
相場心理 の他の用語
🏷 関連タグ
⚠️ ご利用にあたって
本用語解説は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任で行ってください。