「財務代理人」とは
社債管理者を置かずに発行される社債で、発行会社の代理人として元利金の支払いや事務手続きを担う者のことです。英語ではフィスカル・エージェントといい、財務代理人を置く社債はFA債とも呼ばれます。
📌 投資判断のポイント
社債管理者を置かない社債で、発行会社の側に立って元利金の支払いなどの事務を担う者。社債権者を守る権限や義務はないため、FA債では債権の回収を投資家自身で進める場面がある。
財務代理人はどういう仕組み?
会社法第702条は、社債を発行する会社に、社債権者のために弁済の受領や債権の保全などを行う社債管理者を定めるよう求めています。ただし、各社債の金額が1億円以上である場合や、社債の総額を各社債の金額の最低額で割った数が50を下回る場合には、社債管理者を置かなくてもよいとされています。
この例外を使って発行される社債では、社債管理者の代わりに財務代理人が置かれるのが一般的です。財務代理人は銀行などが務め、利払い日に利息を支払う、償還日に元本を支払う、社債原簿を管理するといった事務を、発行会社との契約に基づいて行います。
出典: e-Gov法令検索「会社法」
財務代理人の具体例と注意点は?
大事なのは、財務代理人は発行会社のための代理人であり、社債権者のための代理人ではないことです。発行会社の経営が悪化しても、財務代理人が社債権者に代わって債権を保全したり、裁判の手続きを取ったりする義務はありません。個人向けに販売される社債でも、目論見書に社債管理者が置かれていないと書かれていれば、この点を確かめておく必要があります。
社債管理者のいない社債で元利金の支払いが滞った場合、社債権者は自分で発行会社に請求するか、社債権者集会を開いて代表者を選び、手続きを任せることになります。一口の金額が1億円以上の社債が機関投資家向けに多いのは、こうした手続きを自ら担える投資家を想定しているためです。
社債管理者・社債管理補助者との違い
社債管理者は社債権者のために広い権限を持ち、公平誠実義務や善管注意義務を負います。2021年3月1日に施行された改正会社法では、その中間に当たる社債管理補助者の制度が設けられました。社債管理補助者は社債管理者を置かない社債に任意で置かれ、破産手続きへの参加など、限られた範囲で社債権者を補助します。財務代理人はどちらとも異なり、社債権者を保護する役割は持ちません。
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