「デュアルマンデート」とは
FRB(米連邦準備制度)に課せられた「物価安定」と「最大雇用」の2つの使命。この2目標のバランスがFRBの政策スタンスを決める。
📌 投資判断のポイント
FRBに課された「物価安定」と「最大雇用」の2つの法的使命。利上げ・利下げ判断の根拠になるため、FRB議長の発言でこの2目標のどちらを優先しているかを読み取ることが政策予測の基本。日銀やECBにはない米国固有の概念。
詳しい仕組み・意味
1977年の連邦準備法改正により、FRBは①物価の安定(インフレ抑制)と②最大雇用(失業率最小化)の2つを法的義務として課された。物価安定は2%インフレ目標、最大雇用は「長期的に持続可能な最大の雇用水準」(数値明示なし)として定義される。2目標はしばしばトレードオフになる。インフレ抑制のための利上げは景気を冷やして雇用を悪化させ、雇用最大化のための緩和はインフレを促進する。
具体例・注意点
2021〜2022年:低インフレ・高雇用の「ゴルディロックス」期から一転、インフレが急騰。FRBはデュアルマンデートの「物価安定」を優先し、過去最速ペースの利上げを断行した。一方で「雇用の最大化」は後回しとなり、利上げによる景気後退リスクが市場を揺るがした。注意点:日銀は「物価安定」のみが使命であり、デュアルマンデートは米国固有の概念。ECBも物価安定を主目標とし、雇用は副次的目標。
④ 日銀・ECBとの違い
日銀の使命は「物価の安定を図ることを理念」(日本銀行法第2条)と定義され、雇用最大化は法的使命に含まれない。FRBのデュアルマンデートは米国議会が立法で義務付けた点で唯一性が高く、FRBの政策発言に「雇用」が頻繁に登場する理由がここにある。
⑤ 初心者がよくある誤解
「中央銀行はどこもインフレと雇用の両方を目標にしている」は誤り。デュアルマンデートはFRB固有の法的義務。また「2目標は常に対立する」も誤解で、低インフレ・高成長・高雇用が同時達成できる理想的な局面(ゴルディロックス相場)も存在する。
関連用語
中央銀行が意図的に操作する「金利の出発点」。FF金利(米)・コール翌日物(日)が代表。interest-rate(金利全般)の中でも中央銀行が直接動かす金利で、株・為替・住宅ローンまで連鎖的に動かす。
一般家庭が購入するモノ・サービスの価格変動を測る「物価の体温計」。総合CPI(全品目)とコアCPI(食品・エネルギー除く)の2種類があり、FRBの利上げ・利下げ判断に直結する最重要指標。
コアCPIは食料・エネルギーを除いた物価指標で、短期的なノイズを排除して「基調インフレ」を測る。中央銀行の政策判断に直結するため、毎月の発表が市場を大きく動かす。日本と米国で「コア」の定義が異なる点に注意。
インフレ期待は将来の物価上昇に対する予想で、市場や経済行動に大きな影響を与える。実際のinflationやCPIとは異なり、予想そのものが金利や資産価格を先に動かす点が重要。
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