「偶発債務」とは
今はまだ負債になっていないものの、将来ある出来事が起きれば支払いの義務が生じる可能性のある債務のことです。
📌 投資判断のポイント
債務保証や係争中の訴訟など、将来の出来事しだいで支払い義務が生じうる債務。可能性が高く見積もれるものは引当金になり、それ以外は貸借対照表に載らず注記で開示される。
偶発債務はどういう仕組み?
代表例は、子会社や取引先の借入に対する債務保証、係争中の訴訟、手形の裏書・割引です。保証先が返済できなくなったり、訴訟で負けたりしたときに、初めて支払いの義務が確定します。
支払いの可能性が高く、金額を合理的に見積もれる場合は、引当金として貸借対照表に負債を計上します。そこまで至らないものは貸借対照表には載らず、注記として金額や内容が開示されます。つまり偶発債務は、貸借対照表の外に置かれた負債の候補といえます。
企業グループでは、親会社が子会社の銀行借入を保証するのはよくあることです。連結決算では子会社の借入はすでに負債として計上されるため、親会社単体の決算でのみ偶発債務として注記される場合もあります。どの会社の、何に対する保証なのかを区別して読むことが大切です。
偶発債務の具体例と注意点は?
貸借対照表だけを見ると健全に見える会社でも、注記に多額の債務保証が載っていることがあります。たとえば純資産50億円の会社が、連結の範囲に入らない関係会社の借入30億円を保証していれば、保証先が破綻したときに純資産の6割に当たる負担が生じえます。
訴訟も同じです。製品の欠陥や特許の侵害を巡る訴訟で請求額が大きい場合、判決の内容によっては一度に大きな損失を計上することになります。請求額がそのまま損失になるとは限りませんが、規模感をつかむ手がかりになります。
確かめ方
有価証券報告書の財務諸表の注記で「偶発債務」「保証債務」の項目を探し、保証先・金額・前年からの増減を確かめます。訴訟については「事業等のリスク」や重要な訴訟事件の記載もあわせて読みます。保証先の業績が悪化しているのに注記の金額が減っていない場合は、損失の計上が後から来る可能性を考えておきます。
偶発債務は、保証先の信用力や訴訟の見通しによって、実際に負担になる確率が大きく違います。金額の大きさだけでなく、保証先の業績や訴訟の進み具合を毎期追いかけることで、損失が表に出る前に兆しをつかめることがあります。前年から新しく載った項目は特に注意して読みます。
注記の金額は期末時点の残高なので、期中に保証が増えて期末までに減っている場合は見えません。
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