「事業等のリスク」とは
有価証券報告書の中で、会社の業績や財政状態に大きな影響を与える可能性があるリスクを、会社自身が説明する欄のこと。
📌 投資判断のポイント
有価証券報告書で、業績に大きな影響を与えうるリスクを会社自身が説明する欄。前の年から新しく加わった項目に注目すると会社の関心の変化が分かる。
事業等のリスクはどういう仕組み?
為替の変動、原材料の値上がり、特定の取引先への依存、規制の変更、災害、情報漏えいなど、会社によって抱えるリスクは異なる。この欄では、経営者が重要だと考えるリスクを挙げて説明する。2019年の開示ルールの改正により、リスクが現実になる可能性の程度や時期、現実になったときの影響、会社の対応策もあわせて書くことが求められるようになった。米国の年次報告書(フォーム10-K)にも、Risk Factorsという同じ趣旨の項目がある。
事業等のリスクの具体例と注意点は?
この欄は、ありとあらゆるリスクを並べた定型文になりやすいという指摘もある。読むときは、前の年から新しく加わった項目や順番が上がった項目、具体的な数字を伴って書かれている項目に注目すると、会社の関心の変化が分かりやすい。株価の材料を探すためというより、投資する前に「何が起きたら困る会社か」を知るために使いたい。
経営者による分析(MD&A)との違い
経営者による財政状態等の分析は、すでに起きた業績の変化を振り返って説明する欄である。事業等のリスクは、まだ起きていないが起きたら困ることを先回りして示す欄である。過去を説明するのか、将来の不確実さを示すのかで役割が分かれるので、両方を読むと会社の現状と弱点を立体的につかめる。
数値でみる
この記載の充実を求める開示ルールの改正は2019年1月に公布され、2020年3月31日以後に終了する事業年度の有価証券報告書から本格的に適用された。改正後は、リスクを重要度の高い順に並べることや、発生の可能性や時期を具体的に書くことが望ましいとされている。
投資家が気をつけたいこと
リスクの記載があること自体は、悪い会社である証拠ではない。むしろ具体的に書いている会社のほうが、自社の弱点を把握していると言える。読むときは、自分が投資する理由とぶつかるリスクがないかを確かめるとよい。例えば海外売上の比率が高い会社なら、為替が1円動いたときの利益への影響が数字で示されているかを見ると、リスクの大きさを具体的に想像しやすい。毎年同じ文章が並んでいるだけの会社と、状況の変化に合わせて書き直している会社とでは、リスクへの向き合い方に差があると考えられる。
関連用語
有価証券報告書は企業分析の一次情報。リスクや事業構造まで確認できる。
有価証券報告書で、経営者が業績や財政状態の変化を自分の言葉で説明する欄。数字の理由が分かる一方、会社側の説明なので決算書の数字と照らし合わせて読む。
米国の上場企業などが毎年SECに出す年次報告書。事業のリスク、経営者の説明、監査済みの決算書と注記が載り、EDGARで誰でも無料で読める。
注記が付いたことと倒産が決まったことは別で、解消計画が機能して注記が外れる企業もある。見るべきは注記の有無そのものではなく、本文に書かれた資金繰りの手当てが実際に進んでいるかどうか。
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