「ボラティリティ・スマイル」とは
同じ満期のオプションでも、行使価格ごとにインプライドボラティリティ(オプション価格から逆算した予想変動率)が異なり、横軸に行使価格、縦軸にインプライドボラティリティをとると、中央が低く両端が高い笑った口のような曲線になる現象。
📌 投資判断のポイント
同じ満期のオプションでも行使価格ごとに予想変動率が異なり、並べると両端が高い曲線になる現象。株価指数では急落への警戒からプット側が高い右下がりの形になりやすい。
ボラティリティ・スマイルはどういう仕組み?
オプションの理論価格を求めるブラック・ショールズ・モデルは、どの行使価格でも変動率は同じと仮定する。この仮定が正しければ、行使価格ごとのインプライドボラティリティを並べた線は水平になるはずである。
しかし実際の市場では、現在の価格から大きく離れた行使価格のオプションほど、インプライドボラティリティが高く付く。市場参加者が、モデルの想定以上に大きな値動きが起きる確率を見込んで、遠いオプションに割高な価格を払っているためである。
株価指数のオプションでは、左右対称のスマイルより、低い行使価格(プット側)が高くなる右下がりの形が多い。これを「スキュー」と呼ぶ。1987年10月のブラックマンデーで指数が1日に20%以上下落して以降、急落への備えとしてプットの需要が高まり、この形が定着したとされる。
ボラティリティ・スマイルの具体例と注意点は?
ある株価指数が30,000のとき、行使価格30,000のオプションのインプライドボラティリティが18%、27,000のプットが24%、33,000のコールが19%なら、プット側が持ち上がったスキュー型である。
為替のオプションでは、どちらの通貨にも急変動の可能性があるため、左右がそろったスマイルに近い形が出やすい。
曲線の形は相場の局面で変わる。急落の不安が強まるとプット側の傾きが急になり、落ち着くと緩やかになる。形の変化そのものが市場の警戒感を読む材料になる。
インプライドボラティリティとの違い
インプライドボラティリティは、1つのオプションの価格から逆算した1つの数値である。恐怖指数(VIX)のように、市場全体の予想変動率の水準を示す。
ボラティリティ・スマイルは、その数値を行使価格ごとに並べた形を見る。水準が「どれだけ動くと思われているか」を示すのに対し、形は「どちらの方向への大きな動きを警戒しているか」を示す。
オプションの価格を比べるときは、行使価格が違えば変動率も違うことを前提にする必要がある。現在の価格に近いオプションの変動率だけを見て、遠いオプションも同じ水準だと考えると、割安や割高を読み誤る。
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