決済リスク

リスク管理
よみ:けっさいりすく
監修:所得向上委員会 編集部(編集責任者:加藤 寛) 編集方針
🗂 投資戦略・リスクを管理する ★★ 標準

「決済リスク」とは

取引の約束をした後、実際にお金や証券を受け渡す決済が予定どおりに完了しないリスクのことです。

📌 投資判断のポイント

約定した取引で、代金や証券の受け渡しが予定どおりに完了しないリスク。1974年のヘルシュタット銀行の破綻が典型例。決済までの日数を縮めたり、同時決済の仕組みを使ったりして抑える。

決済リスクはどういう仕組み?

株式や外国為替の取引では、売買の約定と、代金・証券の受け渡しである決済の間に時間差があります。この間に相手が破綻したり、システムが止まったりすると、決済が滞ります。

決済リスクは大きく2つに分かれます。一つは、自分は代金や証券を渡したのに、相手からの受け取りができない元本リスクです。もう一つは、相手が期日に払えず、時間が経ってから受け取る流動性リスクで、その間の資金繰りが狂います。

有名な例が1974年6月26日に起きたドイツのヘルシュタット銀行の破綻です。同行は外国為替の取引でドイツ・マルクを受け取った後、米ドルを支払う前に営業を止められ、取引相手の銀行は支払ったマルクを取り戻せませんでした。時差のある通貨の取引で生じるこの種の決済リスクは、今もヘルシュタット・リスクと呼ばれます。

決済リスクの具体例と注意点は?

決済までの日数が短いほど、この間に生じるリスクは小さくなります。日本の株式の受け渡しは、2019年7月16日の約定分から約定日の2営業日後に短縮されました。米国の株式は2024年5月28日から1営業日後になっています。

外国為替では、2つの通貨の支払いを同時に行う仕組み(PVP)が広がり、決済専門の機関を通じて一方だけが支払う状態を防いでいます。

個人投資家への影響

個人が証券会社を通じて取引する場合、決済は証券保管振替機構や清算機関の仕組みで行われ、相手の破綻が直接の損失になることはほとんどありません。一方、受け渡し日を意識しておくことは実務で役立ちます。売却代金を使えるのは受け渡し日以降で、配当や株主優待の権利を得るには、権利確定日から逆算して受け渡しが間に合う日までに買う必要があります。

日本では、国債や大口の資金の受け渡しを日本銀行の当座預金の間で1件ごとに即時に決済するRTGSという方式が2001年1月に導入されました。取引をまとめて1日の終わりに差し引きする方式に比べ、1つの金融機関の支払い不能がほかの金融機関に連鎖するリスクを抑えられます。株式でも、清算機関が売り手と買い手の間に入って相手方になり、一方の不履行が相手に直接及ばないようにしています。

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