「ポートフォリオ・インシュアランス」とは
株式などのポートフォリオの価値が一定の水準を下回らないように、相場の動きに合わせて安全資産との配分を機械的に切り替える運用手法。プットオプションを買ったのと似た効果を、売買のルールで作り出す。
📌 投資判断のポイント
相場の下落に合わせて株式を売り安全資産を増やし、資産の下限を守ろうとする運用手法。1987年のブラックマンデーでは機械的な売りが下落を加速させたと指摘された。
ポートフォリオ・インシュアランスはどういう仕組み?
1970年代後半に米国の研究者が考案し、1980年代に機関投資家の間で広まった。相場が下がると株式を売って債券や現金を増やし、上がると株式を買い増す。これによって下値の目安(フロア)を守りつつ、上昇局面の利益はある程度取り込める。
代表的な方法にCPPI(固定比率ポートフォリオ・インシュアランス)がある。守りたい下限額を決め、資産額と下限額の差(クッション)に一定の倍率を掛けた額を株式に配分する。例えば資産100万円、下限80万円、倍率3倍なら、クッション20万円の3倍にあたる60万円を株式に、残りの40万円を安全資産に置く。株式が下がればクッションが減り、株式の比率は自動的に下がる。
ポートフォリオ・インシュアランスの具体例と注意点は?
弱点は、相場が急落して売買が追いつかないと下限を守れないことだ。1987年10月19日のブラックマンデーでは、ダウ工業株30種平均が1日で22.6%下落した。このとき多くのポートフォリオ・インシュアランスが株価指数先物の売りを同時に出したことが、下落を加速させた要因の1つと指摘された。
また、上下に振れる相場では、下がって売り、上がって買うことを繰り返すため、売買コストがかさみ成績が落ちやすい。同じ手法を使う参加者が多いほど、売りが売りを呼ぶ連鎖が起きやすくなる点にも注意したい。
プロテクティブプットとの違い
プロテクティブプットは、プットオプションを買って下値を確定させる方法で、コストはオプション料として最初に決まる。ポートフォリオ・インシュアランスはオプションを買わずに売買で同じ効果をねらうため、事前の支払いはないが、急な値動きで下限が破られるリスクが残る。
個人の資産運用に置き換えると、相場が下がったら株式の比率を機械的に下げるルールは、ポートフォリオ・インシュアランスに近い考え方になる。これに対し、目標の配分から外れたら元に戻す一般的なリバランスは、下がった資産を買い増す逆方向の売買である。どちらが向くかは、守りたい下限がはっきりしているか、長期で配分を保ちたいかによって変わる。
関連用語
保有資産にプットを買って下落リスクを限定する保険的な戦略。損失を抑えつつ上値は残せるが、オプション料が継続コストになり、下げなければ掛け捨てになる。常時かけ続けるとリターンを削る点を意識したい。
プットオプションは売る権利。下落ヘッジや相場心理の理解で重要になる。
ヘッジはリスクを消すのではなく、価格変動の影響を抑える手段。コストや利益の一部放棄を伴うため、目的と期間を決めて使いたい。
価格の変動幅を示す投資リスクの基本指標。「下方向への動き」だけでなく上下両方の振れ幅を測り、年率標準偏差で算出する。VIX(先行予測)とヒストリカルボラティリティ(実績値)の違いも押さえる。
資産配分のズレを修正し、元のバランスに戻す行為。リスクを一定に保ち、長期運用を安定させるために不可欠なプロセス。
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