「ネガティブ・キャリー」とは
ある資産を保有することで得られる収入(キャリー)が、その保有にかかる費用を下回り、持っているだけで損が出る状態です。費用には、資金を借りるための金利や、為替リスクを避けるためのヘッジコストなどが含まれます。反対に、収入が費用を上回る状態をポジティブ・キャリーと呼びます。
📌 投資判断のポイント
資産を持ち続けることで得られる利息や配当より、その資産を持つための資金調達コストやヘッジ費用のほうが大きく、保有しているだけで損失が積み上がる状態。逆イールドの局面などで起こりやすい。
ネガティブ・キャリーはどういう仕組み?
たとえば、年4.5%の金利で資金を借りて、利回り年4.0%の債券を買ったとします。債券からの利息より借入の金利のほうが0.5%高いため、1億円分を保有すると、価格が動かなくても年50万円ずつ損失が積み上がります。この状態がネガティブ・キャリーです。
短期の金利が長期の金利を上回る逆イールドの局面では、短期で資金を調達して長期の債券を持つと、利回りの差がマイナスになります。普段は長期債を持つことで得られるはずの上乗せ分が消えるため、債券を保有する投資家の採算が悪化します。
ネガティブ・キャリーの具体例と注意点は?
個人投資家に身近なのが、為替ヘッジ付きの外国債券ファンドです。為替ヘッジのコストはおおむね2国間の短期金利の差で決まるため、米国の短期金利が日本よりずっと高い局面では、ヘッジコストが米国債の利回りに近づき、上回ることもあります。そうなると、利回りが高く見える外国債券でも、為替ヘッジ後の利回りはほぼゼロかマイナスになります。
ネガティブ・キャリーでも、その後に価格が上がれば全体の損益はプラスになりえます。保有を続けるかどうかは、毎期の損失を上回る値上がりが見込めるか、それまでの期間に耐えられるかで判断する必要があります。年0.5%のマイナスでも、5年続けば累計で約2.5%になり、同じ期間に債券価格がそれ以上上がらなければ取り戻せません。期間が長くなるほど、小さな差が効いてくる点に注意が必要です。銀行や保険会社では、同じ状態を「逆ザヤ」と呼ぶこともあります。
キャリートレードとの違い
キャリートレードは、低金利の通貨で資金を借りて高金利の資産に投じ、ポジティブ・キャリーを狙う取引です。ネガティブ・キャリーは、その利回り差がマイナスになった状態を指す言葉で、取引の手法ではなく収支の状態を表します。金利差が縮まってキャリーがマイナスに転じると、キャリートレードの巻き戻しが起きやすくなります。
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