「人的資本開示」とは
人的資本開示は、会社が従業員を価値を生む資本ととらえ、人材育成や働く環境への取り組みと、その指標を投資家などに開示することです。
📌 投資判断のポイント
従業員を価値を生む資本ととらえ、人材育成や社内環境整備の方針と指標を開示すること。2023年3月期以降の有価証券報告書で記載が求められている。
人的資本開示はどういう仕組み?
日本では、2023年1月31日の内閣府令の改正により、2023年3月期の決算企業から、有価証券報告書に「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設されました。その中で、人材の多様性の確保を含む人材育成の方針や社内環境整備の方針、それらに関する指標や目標を記載することが求められています。あわせて、「従業員の状況」の欄では、女性活躍推進法などに基づく多様性の指標として、女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差の開示も求められるようになりました。
人的資本開示の具体例と注意点は?
例えば、女性管理職比率が8%の会社が「5年後に15%」という目標を掲げ、そのための研修や登用の仕組みを方針として書く、といった開示です。投資家にとっては、決算書の数字だけでは見えない、将来の稼ぐ力の源泉を知る手がかりになります。ただし、指標の定義や集計範囲は会社によって異なることがあり、単体だけか連結子会社まで含むかで数字が大きく変わることもあります。単純な数字の比較だけで良し悪しを判断するのは早計です。
人的資本開示と非財務情報の違い
非財務情報は、決算書の金額以外で会社の状態を示す情報全般を指し、環境への取り組み、企業統治、事業のリスクなど幅広い分野を含みます。人的資本開示は、その中でも人材に関する部分に焦点を当てたものです。読むときは、複数年の推移や、会社が掲げた目標とその達成度、方針と指標がきちんとつながっているかをあわせて見ることが大切です。
決算書のどこを見るか
有価証券報告書では、第2【事業の状況】の中のサステナビリティに関する考え方及び取組の欄に、人材育成の方針や社内環境整備の方針、指標と目標が書かれます。女性管理職比率などの多様性の指標は、第1【企業の概況】の従業員の状況の欄に載ります。平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与も同じ欄にあるので、同業他社と並べてみると、その会社が人材をどのように扱っているかの輪郭が見えてきます。
関連用語
金額で表せない会社の判断材料で、経営方針・事業リスク・人材・環境・ガバナンスなどを含む。日本では2023年3月期の有価証券報告書からサステナビリティ情報の記載欄が新設された。
有価証券報告書は企業分析の一次情報。リスクや事業構造まで確認できる。
財務情報と、戦略や人材、環境、ガバナンスなどの非財務情報をまとめて、長期の価値創造を説明する任意の報告書。実績の数字と照らし合わせて読むのが基本
財務情報に加え、環境・社会・企業統治への取り組みを考えて投資先を選ぶ方法。除外、評価の組み込み、株主としての対話など手法はさまざまで、中身の確認が欠かせない
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