「差額原価」とは
差額原価とは、いくつかの選択肢を比べるときに、どれを選ぶかによって金額が変わる原価のことです。経営の意思決定では、この差額原価と、選択によって変わる収益(差額収益)だけを比べれば判断できます。
📌 投資判断のポイント
複数の選択肢を比べるとき、どれを選ぶかで金額が変わる原価。すでに払って変わらない埋没原価を外し、変わる部分だけで意思決定する。
差額原価はどういう仕組み?
会社の費用には、どの選択をしても変わらないものがあります。例えば、すでに払ってしまった機械の代金や、どちらを選んでもかかる工場の家賃です。これらは判断に関係ないので、比べる対象から外します。特に、過去に支払ってもう取り戻せない費用は「埋没原価(サンクコスト)」と呼ばれ、判断に持ち込むと誤りの原因になります。差額原価で考えるとは、「この選択をしたら、何が増えて何が減るのか」だけに目を向けることです。新しい注文を受けるか、部品を自社で作るか買うか、ある工場を続けるか閉じるか、といった場面で使われます。
差額原価の具体例と注意点は?
ある工場に、1個800円で1,000個買いたいという特別な注文が来たとします。普段の販売価格は1,000円で、1個あたりの原価は材料などの変動費が600円、家賃などの固定費の割り振りが300円で、合計900円です。900円より安いので断りたくなりますが、工場に余力があれば、固定費はこの注文を受けても受けなくても変わりません。差額で見ると、収益が80万円増え、原価は変動費の60万円だけ増えるので、利益は20万円増えます。ただし、普段の客から値下げを求められる心配や、余力が本当にあるかは別に確かめる必要があります。
埋没原価・機会費用との違い
埋没原価は、すでに発生していて、どの選択でも変わらない原価で、判断から外すものです。機会費用は、ある選択をしたことで諦めた別の選択肢から得られたはずの利益です。差額原価で判断するときは、埋没原価を外し、機会費用は加えて考えるのが基本です。
身近な例で考える
差額原価の考え方は、家計の判断にも使えます。例えば、すでに1年分を払ったスポーツジムの会費は、この先ジムに通っても通わなくても戻ってこない埋没原価です。「もったいないから行く」かどうかを考えるときに大切なのは、行くことで増える交通費や時間と、得られる健康や楽しみとの比較です。過去に払ったお金にとらわれず、これから変わる部分だけで判断するという点は、会社の意思決定と同じです。
関連用語
回収不能な過去の費用。合理的には無視すべきなのに「ここまで払ったのだから」と損失が広がる方向へ進んでしまう。塩漬けやナンピンの深追いが典型。「今ゼロから始めるとして買うか」に置き換えれば、過去の投入額から判断を切り離せる。
ある選択で諦めた別の選択肢から得られたはずの利益。現金の放置や塩漬け株は、その資金を投資していれば得られたリターンを失う隠れコストを負う。フルインベストせよという話ではなく、各判断が何を諦めているかまで含めて比較する視点が要る。
変動費は売上に応じて増減する費用。利益率と損益分岐点を左右する。
固定費は売上に関係なく発生しやすい費用。利益の振れ幅を大きくする要因になる。
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