株価が上がっているとき、多くの人は「強い相場だ」と感じます。
しかし、投資戦略で本当に重要なのは、株価が上がっている事実そのものではありません。誰が買っているのか、なぜ買っているのか、どこまで続く買いなのかを見極めることです。
宮島秀直氏の投資戦略ゼミ特別編では、日本株上昇の背景として、世界の過剰流動性とクオンツ型ヘッジファンドの動きが詳しく解説されました。
過剰流動性は、相場の燃料である
宮島氏が重視する指標のひとつが、世界の過剰流動性です。
これは、世界のマネーサプライの伸びからGDP成長率を差し引くことで、実体経済を超えて余っているお金の増え方を見る考え方です。
余ったお金が多ければ、株式市場に流れ込みやすくなります。一定の水準を超えると、バブル的な上昇が起こりやすくなります。一方で、流動性が細れば、相場の下落を受け止める資金が不足します。
株価の上昇を見るときは、企業業績だけでなく、世界にどれだけ投資資金が余っているかも確認する必要があります。
日本株上昇は、誰が買っているのか
宮島氏は、4月以降の日本株上昇について、個人投資家や長期投資家が一斉に買っているわけではないと指摘しました。
注目すべきは、クオンツ型ヘッジファンドの動きです。
クオンツ型ヘッジファンドは、ボラティリティや価格変動のパターンをもとに、機械的に売買を行います。相場が下がれば売り、ボラティリティが落ち着けば買い戻す。その動きが指数を押し上げることがあります。
この場合、株価上昇は長期投資家の本格回帰ではなく、ポジション調整による上昇である可能性があります。
指数上昇と実体の強さは同じではない
相場上昇の主体がクオンツ勢である場合、指数は強く見えても、内側は偏っていることがあります。
一部の値がさ株や高PER銘柄が買われ、指数だけが上昇する。一方で、多くの投資家が実感する相場はそれほど強くない。こうした現象は珍しくありません。
そのため、日経平均やTOPIXの水準だけで判断するのではなく、売買主体、出来高、買われている銘柄群、PERの水準をあわせて見る必要があります。
相場が上がっているから安全、というわけではありません。むしろ、上昇の中身を確認する局面ほど慎重さが必要です。
有事に強いセクターをどう考えるか
宮島氏は、戦争が日常化する時代のセクター分析にも触れました。
銀行、機械、建設、海運、総合商社、化学、石油関連などは、有事局面でも相対的に強さを見せる可能性がある分野として整理されています。
これは、短期的なテーマ株探しではありません。金融、物流、資源、インフラ、素材といった実体経済の基盤に関わる産業をどう評価するかという話です。
AIや半導体のような成長テーマを見る一方で、有事に耐える産業も確認する。この両面が、相場全体を理解するうえで重要になります。
上昇相場ほど「待つ力」が問われる
宮島氏は、過熱した水準での日本株投資に慎重な姿勢を示しました。
相場が強く見えると、投資家はどうしても買いたくなります。しかし、上昇の主体が短期資金であり、PERが高い銘柄に偏っている場合、買い戻しが一巡した後に調整が起きる可能性があります。
上がっている相場に乗る力も大切ですが、上昇の質を見極め、待つべきところで待つ力も同じくらい重要です。
この記事のまとめ
- 株価上昇を見るときは、「誰が買っているのか」を確認する。
- 過剰流動性は相場の燃料になり、一定水準を超えるとバブル的な動きを生みやすい。
- クオンツ型ヘッジファンドの買い戻しは、長期投資家の本格回帰とは意味が異なる。
- 指数上昇と市場全体の強さは一致しない。中身を見る必要がある。
- 有事に強いセクターと成長テーマを分けて整理する。
株価が上がると、相場は簡単に見えます。
しかし、投資戦略で大切なのは、上昇の理由を分解することです。長期資金なのか、短期資金なのか。業績なのか、流動性なのか。構造なのか、買い戻しなのか。
その違いを見極めることが、次の判断につながります。
本記事は、2026年4月27日開催「宮島秀直の投資戦略ゼミ 特別編」で語られた考え方を抜粋・整理したものです。1テーマに絞っており、セミナー全体の内容は講座でご覧いただけます。