「リショアリング」とは
一言でいうと
海外に移転した生産機能を自国に取り戻すこと。安全保障・雇用確保・サプライチェーン強靭化を目的に、米国・欧州・日本で政策的に推進されている。
詳しい仕組み・意味
1990〜2000年代のオフショアリング(中国・東南アジアへの生産移転)の逆流として起きている。CHIPS法(半導体)・IRA(EV・電池)・国防生産法(重要物資)が補助金・税控除でリショアリングを誘導する米国の主要手段だ。日本では半導体・蓄電池の国内回帰支援(経済安全保障推進法)が行われている。コストは中国拠点より割高になりがちで、人件費・不動産・インフラ整備の追加コストが企業利益率に影響する。
具体例・注意点
TSMCのアリゾナ工場・サムスンのテキサス工場・インテルのオハイオ工場はCHIPS法補助金を受けたリショアリング案例だ。受注補助金を得る企業と、建設・装置・人材供給で恩恵を受けるサプライヤー企業の両方が投資機会となる。補助金なしで経済合理性が成立するかを慎重に評価し、政策変更リスクも考慮した長期視点が必要だ。
米国のIRA(インフレ削減法)・CHIPS法はリショアリングを財政的に後押しする代表的な政策だ。製造業のリショアリングは短期的にコスト増要因となるが、サプライチェーン強靭性・雇用確保・地政学リスク低減という長期便益がある。リショアリング関連株(建設・産業機械・エネルギー)は政策テーマとして投資対象になることが多い。
📌 投資判断のポイント
リショアリングは補助金で誘導される長期テーマ。CHIPS法・IRA受給企業と建設・製造装置・インフラ企業の両方が恩恵を受けやすい。ただし補助金依存の収益性には長期的なリスクもある。
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