「最後の貸し手」とは
資金繰りに困った金融機関に対して、ほかに貸し手がいない状況で中央銀行が資金を供給する役割のことです。
📌 投資判断のポイント
ほかに貸し手がいない金融機関へ中央銀行が資金を供給する役割。日本銀行は4つの原則を置き、責任の明確化と自らの財務の健全性への配慮を前提としている。
最後の貸し手はどういう仕組み?
日本では日本銀行がこの役割を担います。根拠は1998年に施行された日本銀行法で、信用秩序の維持のために特に必要と認められるときは、内閣総理大臣と財務大臣の要請を受けて、特別の条件による資金の貸付けなどを行うことができます。これが日銀特融と呼ばれるものです。狙いは個別の金融機関を救うこと自体ではなく、ひとつの支払不能が不安心理や取引関係を通じて他の金融機関や決済システムへ連鎖し、金融システム全体が止まってしまう事態を避けることにあります。
最後の貸し手の具体例と注意点は?
過去には、金融機関の破綻処理にあたってのつなぎ融資や、劣後ローンの供与といった形で実施されています。制度として用意されているからといって、経営がゆきづまれば必ず助けが来るという意味ではありません。3つ目の原則が示すとおり、責任の明確化は前提条件です。預金者の保護は、この枠組みとは別に預金保険機構が担っており、元本1,000万円とその利息までが保護されます。最後の貸し手の役割は預金者への補償ではなく、決済が止まることによる混乱を防ぐ点にあります。なお、特融が実施された場合はその内容が公表され、政策委員会の議事にも残ります。支払能力そのものが失われた金融機関への資本の投入は財政の役割であり、中央銀行が担うのは流動性の供給までだ、という線引きも国際的な共通理解になっています。
通常の貸付との違い
日本銀行が日常的に行う貸付は、国債などを担保にした取引です。これに対し特融は、担保が十分でない場合も含めて特別の条件で行われます。だからこそ歯止めが要ります。日本銀行は特融の判断にあたって4つの原則を置いており、「システミック・リスクが顕現化する惧れがあること」「日本銀行の資金供与が必要不可欠であること」「モラルハザード防止の観点から、関係者の責任の明確化が図られるなど適切な対応が講じられること」「日本銀行自身の財務の健全性維持に配慮すること」がそれにあたります。
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