マーケットニュース

昨日のマーケット概況(2025年11月24日、月曜日)

週明け24日の米国市場は、FRB(連邦準備制度理事会)による12月の追加利下げへの期待が再燃したことを受け、主要株価指数が大幅に上昇しました。ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁が追加利下げを支持する意向を示唆したことが好感され、投資家心理が大きく改善。S&P500種株価指数は1.6%、ハイテク株中心のナスダック総合指数は2.7%と、それぞれ力強い上昇を見せました。特に、好決算を発表したNvidiaや新AIモデルへの期待が高まるAlphabetなど、AI関連銘柄が市場全体を力強く牽引しました。一方、為替市場では利下げ期待を背景にドルが軟調に推移し、米長期金利も低下。11月のミシガン大学消費者センチメント指数は予想通りながらも前月から低下し、景気の先行きには依然として不透明感が残りますが、市場は当面の金融緩和期待を織り込む形でリスクオンムード一色となりました。

FRB利下げ期待が再燃!AI株主導でNY市場はリスクオン全開へ

昨日の米国市場を動かした最大の要因は、FRB高官による「ハト派」的な発言でした。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、12月に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)で25bp(0.25%)の追加利下げを支持する可能性を示唆したのです。市場ではこれまで、根強いインフレへの警戒感からFRBが利下げに慎重になるとの見方もありましたが、この発言をきっかけに金融緩和期待が一気に再燃しました。この楽観ムードを背景に、株式市場ではAI関連銘柄が主役となりました。好決算と旺盛なAIモデル需要を背景にNvidiaの株価は続伸し、最新AIモデル「Gemini 3」を発表したAlphabetも大きく買われました。これらのハイテク大手が市場全体を牽引する形で、ナスダック総合指数は2.7%もの大幅高を記録しました。市場は目先のインフレデータよりも金融緩和という「甘い蜜」に焦点を当てており、年末に向けた株価上昇(サンタクロース・ラリー)への期待が高まっています。

宴の裏側で囁かれる「AIバブル」の警告と根強いインフレ懸念

市場がリスクオンムードに沸く一方で、冷静な視点も必要です。現在の市場を牽引するAI関連株の上昇ピッチは非常に速く、一部ではそのバリュエーション(株価評価)の過熱感を指摘する声も上がっています。実体経済の成長ペースを遥かに上回る株価上昇は、将来の期待を過度に織り込んでいる可能性があり、いわゆる「AIバブル」への警戒感が燻っています。また、FRBの利下げ期待が先行していますが、インフレが本当に抑制されたのかはまだ不透明です。今後発表される生産者物価指数(PPI)などの経済指標が市場予想を上回る結果となれば、利下げ期待は急速に後退し、市場が大きく反落するリスクも抱えています。投資家は、現在の楽観的な市場の裏に潜むバリュエーションの過熱感やインフレ再燃のリスクを常に意識し、冷静な判断を心がける必要があります。

中国経済、輸出好調でGDP予測上方修正!しかし深刻な不動産不況が足枷に

世界経済のもう一つのエンジンである中国からは、明るいニュースと懸念材料が同時に聞こえてきます。ゴールドマン・サックスやIMF(国際通貨基金)は、好調な輸出を背景に中国の2025年GDP成長率予測を相次いで上方修正しました。世界的な景気減速が懸念される中でも、中国の製造業の競争力が経済成長を下支えしている格好です。しかし、国内に目を向けると、深刻な問題が横たわっています。不動産市場の低迷は依然として続いており、10月の新築・中古住宅価格は過去1年で最も急激な下落を記録しました。政府は住宅ローン金利の引き下げなど矢継ぎ早に対策を講じていますが、市場の信頼回復には至っていません。この不動産不況は、個人の資産価値を押し下げるだけでなく、金融システムの安定性を揺るがしかねない大きなリスクであり、中国経済の先行きを占う上で最大の懸念材料となっています。

史上最高値圏の日本株!高市新政権への期待と日銀「利上げ」の足音

日本の株式市場は、高市新首相の経済政策への期待感を追い風に、史上最高値圏での推移を続けています。政府が発表した所得税の年収閾値引き上げを含む2025年度経済対策も、家計の可処分所得を増やし内需を刺激するとの期待から、株価の支援材料となっています。しかし、市場関係者の間では楽観ムード一色というわけではありません。最大の注目点は、日本銀行(BOJ)が長年の金融緩和策を転換し、いつ「利上げ」に踏み切るかという点です。賃金の上昇と個人消費の動向次第では、2025年末にも利上げが実施されるとの予測も出ています。金融政策の正常化は、日本経済の健全化にとって長期的にはプラスですが、短期的には企業の借入コスト増加や株価の割高感につながり、株式市場の重しとなる可能性があります。新政権への期待と日銀の政策転換への警戒感が交錯する、難しい局面が続きそうです。

台湾情勢緊迫化!日本のミサイル配備計画に中国が猛反発、市場への影響は?

金融市場から少し目を離すと、地政学的なリスクが静かに高まっています。日本政府が台湾に近接する与那国島へのミサイル配備計画を再確認したことに対し、中国政府が「対決的な姿勢だ」と強く非難し、日中間の緊張が高まっています。日本側は自国防衛のための抑止力向上を目的としていますが、中国側はこれを地域の安定を損なう挑発行為と捉えています。この緊張の高まりは、単なる二国間の問題に留まらず、半導体をはじめとするグローバルなサプライチェーンやアジア太平洋地域の市場全体に不確実性をもたらすリスク要因となります。万が一、偶発的な衝突などが発生すれば、世界の金融市場は一気にリスクオフへと傾く可能性があります。経済指標や金融政策だけでなく、こうした地政学的な動向にも注意を払うことが、ますます重要になっています。

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