マーケットニュース

2025年7月5日(土)の最新マーケット情報をお届けします。7月4日の米国市場は独立記念日のため休場でしたが、その裏で欧州と中国の接近や、くすぶり続ける貿易摩擦問題など、世界経済の構造変化を予感させる重要な動きが相次ぎました。来週の重要経済指標の発表を前に、投資家の皆様が押さえておくべきニュースの深層を、多角的な視点から詳しく解説いたします。

マーケット概況(2025年7月4日)

7月4日の米国市場は、独立記念日の祝日で休場となり、株式・債券・為替市場ともに閑散とした取引となりました。これにより、前日までのリスクセンチメントが維持される形となりました。前日3日の市場では、後述する中国とEUのハイレベル戦略対話や、日米貿易協議の動向が注目され、過度な悲観論は後退したものの、具体的な成果や合意内容が見えにくい部分も多く、積極的なポジション構築は手控えられました。欧州市場では、Stoxx 600指数が小幅に上昇。アジア市場も様子見ムードが強く、日経平均株価や上海総合指数は限定的な値動きに終始しました。今週前半に発表された米国のISM製造業景況指数が市場予想を下回り、景気の先行きに対する警戒感が根強く残っています。来週は、金融政策の方向性を探る上で重要な米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の公表や、景気動向を占う米雇用統計の発表が控えており、市場のボラティリティが再び高まる可能性があります。不確実性の高い局面が続くため、引き続き慎重なリスク管理が求められます。

中国とEU、急接近で世界経済に激震!?

7月3日、中国とEUは北京で「第13回ハイレベル戦略対話」を開催しました。中国の王毅外相とEUのボレル外務・安全保障政策上級代表が出席し、地政学的な課題や経済協力について協議。共同声明では、相互尊重と互いの核心的利益への配慮、そしてEUが掲げる「戦略的自律性」への支持が確認されました。 この動きは、米中対立が長期化・深刻化する中で、EUが米国一辺倒ではない独自の外交・経済路線を模索していることの表れであり、世界のパワーバランスに変化をもたらす可能性を秘めています。 具体的には、気候変動対策やサプライチェーンの強靭化といった分野での協力深化が期待される一方、米国は欧州の「中国寄り」の姿勢に神経を尖らせており、欧米間の足並みの乱れが新たな火種となるリスクも孕んでいます。投資家にとっては、欧州の自動車や機械メーカー、中国のグリーンエネルギー関連企業など、中欧経済連携の恩恵を受けるセクターに注目が集まる可能性がありますが、米国の対抗措置などの地政学リスクも同時に考慮する必要があります。

パンダ返還で日中関係は氷河期へ?

和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドから4頭のジャイアントパンダが中国へ返還され、日本国内で会えるパンダは上野動物園の2頭のみとなりました。パンダは長らく中国の「友好の証」として世界各国へ貸与されており、今回の大量返還は、現在の冷え込んだ日中関係を象徴する出来事だと受け止められています。市場への直接的な経済インパクトは軽微ですが、両国間の国民感情の悪化や政治的対話の停滞が、インバウンド消費の減少や、日本企業の中国事業におけるサプライチェーンの見直しといった形で、中長期的に日本経済の重荷となる可能性は否定できません。地政学的リスクの高まりとして、投資家のセンチメントを悪化させる一因となり得るため、今後の両国政府の対話の行方を慎重に見守る必要があります。

トランプ関税の亡霊、EC市場を襲う!

最近の米国の複数の消費者調査によると、トランプ前政権時代に導入された対中関税などの影響が、今なお根強くEC(電子商取引)市場に影を落としていることが明らかになりました。多くの消費者が「輸入品の価格上昇は関税が原因」と認識しており、特に家具や家電、アパレルといった品目での買い控えに繋がっていると分析されています。この消費マインドの冷え込みは、EC市場の成長鈍化だけでなく、インフレの長期化と相まって米国の個人消費全体を押し下げる要因となり、ひいては米国経済のリセッション(景気後退)懸念を強める材料と見なされています。来たる大統領選挙の結果次第では、さらなる関税強化の可能性も議論されており、小売業界やEC関連企業の業績、そして米国経済の先行きを読む上で、消費者動向は極めて重要な指標となります。

日米貿易協議、暗礁に乗り上げるか?

6月30日にオンライン形式で実施された日米貿易協議(事務レベル会合)は、双方の主張の隔たりが大きく、目立った進展なく終了した模様です。報道によると、日本側が求める米国の鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税の撤廃に対し、米国側は日本の農産物市場のさらなる開放や、米国製電気自動車(EV)への優遇措置などを要求しており、交渉は平行線を辿っています。次回の協議日程も未定とされ、交渉の長期化・停滞は避けられない情勢です。この不透明感は、日本の輸出関連企業、特に自動車や機械セクターの株価の上値を抑える要因となり得ます。為替市場においても、円安進行の一服感が強まる中で、貿易摩擦問題の再燃は円高圧力となる可能性もあり、市場の不安定要因として今後もくすぶり続けるでしょう。

米国、自動車関税強化で世界経済に打撃!?

米国商務省が、安全保障上の脅威を理由に関税を発動できる通商拡大法232条に基づき、自動車および自動車部品に対する関税の対象品目を拡大するためのプロセスを開始したと発表しました。これは、国内の自動車産業と雇用を保護することを目的とした措置ですが、同盟国である日本やドイツ、韓国、そして隣国のメキシコなど、主要な自動車輸出国からの強い反発が予想されます。仮に関税が強化されれば、グローバルに張り巡らされた自動車業界のサプライチェーンに深刻な混乱を引き起こし、部品コストの上昇を通じて新車価格を押し上げ、最終的には世界経済全体の減速につながる大きなリスクとなります。この動きは、保護主義の再燃を市場に強く意識させるものであり、発動の有無やその規模が、今後の世界貿易と株式市場の大きな変動要因となるため、最大限の警戒が必要です。

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