こんにちは。ライフプラン・コンサルタントの佐藤です。長年、輝く世代の皆様のライフプラン相談に乗らせていただいております。
「そろそろ相続のことも考えないとな…」「でも、何から手をつけていいか分からないし、家族と話しにくいな」と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。財産の多い少ないにかかわらず、ご自身の築き上げてきた大切な資産と、ご家族への「想い」を円満に引き継ぐ準備は、これからの人生を安心して楽しむためにとても大切なことです。
特に2026年に向けて、贈与や相続のルールが少しずつ変わってきていますし、スマートフォンの中にある「デジタル遺産」という新しい課題も出てきました。この記事では、そんな漠然とした不安を解消し、「今日からできること」が見つかるよう、専門用語をできるだけ使わずに、一つひとつ丁寧にご案内させていただきます。一緒に、未来への安心の第一歩を踏み出しましょう。
円満な資産承継とは?- 私たちの人生にどう関係するの?
「資産承継」や「相続」と聞くと、なんだか堅苦しい手続きのように感じられるかもしれませんね。ですが、これは単なる財産の引き継ぎではありません。ご自身がこれまで大切にしてきた想いや価値観を、愛するご家族へ伝えるための、いわば「最後のお手紙」のようなものだと私は考えています。
残念ながら、コミュニケーションが少し足りなかったばかりに、ご家族の間で思わぬ誤解が生まれてしまう「争族」という悲しいケースも耳にします。これは決して特別な家庭の話ではなく、誰にでも起こりうることなのです。大切なのは、ご自身の想いをきちんと整理し、ご家族に伝えておくこと。そのひと手間が、ご家族の絆を未来にわたって守ることにつながります。
また、最近では私たちの生活にデジタルが浸透し、新しい課題が生まれています。ネット銀行の口座、証券会社のアプリ、SNSのアカウント、毎月支払っているサブスクリプションサービスなど、ご家族も知らない「デジタル遺産」が増えています。これらは、IDやパスワードが分からないと、誰も手を付けられないままになってしまう可能性があります。こうした新しい資産の形にも、今のうちから目を向けておくことが大切ですね。
なぜ今考えるべき?- 2026年に向けた知っておきたい3つの理由
「まだ元気だし、考えるのは少し早いかな」と思われるかもしれません。しかし、心と時間にゆとりのある「今」だからこそ、落ち着いて準備を進めることができるのです。特に、知っておいていただきたい理由が3つあります。
理由1:贈与のルールが変わり始めているから
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、2024年から生前贈与に関するルールが新しくなりました。特に、毎年少しずつ贈与する方法(暦年贈与)について、亡くなる前の一定期間に行われた贈与は相続財産に加算されるのですが、その期間が「3年」から「7年」へと段階的に延長されています。2027年1月1日以降に発生する相続から、この影響が本格的に出てきます。早めに計画を立てておくことが、よりご自身の想いに沿った資産の引き継ぎにつながるのです。
理由2:ご家族も知らない「デジタル遺産」が急増しているから
先ほども触れましたが、スマートフォンの中にはたくさんの大切な情報が詰まっています。もしもの時、ご家族がスマートフォンのロックを解除できなかったらどうなるでしょう。大切な写真や連絡先はもちろん、ネット銀行や電子マネーなどの資産にもアクセスできなくなってしまうかもしれません。元気なうちに、デジタル情報の整理と共有方法について考えておくことが、これからの時代の新しい常識になりつつあります。
理由3:ご家族の形がより豊かになっているから
現代は、ご夫婦お二人の暮らし、再婚されたご家庭、お子様が独立して遠方で暮らしているなど、ご家族の形がとても多様になっています。だからこそ、「法律で決まっているから」という画一的な方法だけでは、一人ひとりのご家族への細やかな想いを伝えきれないこともあります。ご自身の言葉で、「誰に」「何を」「なぜ」遺したいのかを明確にしておくことが、すべての家族の幸せにつながる鍵となります。
【始め方がわからない方へ】ケース別・やることリスト
「理屈は分かったけれど、具体的に何をすれば…?」という方のために、簡単なステップをご用意しました。まずはできることから始めてみましょう。
□ ステップ1:我が家の「資産マップ」を作ってみる
まずは、ご自身の資産をすべて書き出してみましょう。預貯金や不動産、保険はもちろん、ネット銀行、証券口座、電子マネー、ポイント、さらにはSNSのアカウントや有料のWebサービスまで、一覧にしてみることが大切です。忘れないように、通帳やスマートフォンのアプリを見ながら、ゆっくり整理してみてください。
□ ステップ2:ご家族への「想い」を言葉にしてみる
法的な効力はなくても、まずはエンディングノートなどに想いを書き出してみましょう。「この土地は長男に」「この預金は孫の学費に」といった具体的なことだけでなく、「家族みんなで仲良くいてほしい」というようなお気持ちを記すだけでも、ご家族にとってはかけがえのない宝物になります。想いを整理することが、何よりの第一歩です。
□ ステップ3:デジタル情報の「引き継ぎ方」を決める
重要なIDやパスワードを一覧にし、その保管場所をご家族の信頼できる方一人にだけ伝えておく、などのルールを決めておきましょう。最近では、デジタル遺産の管理をサポートしてくれるサービスもありますので、調べてみるのも良いでしょう。
□ ステップ4:家族と「お茶の時間」に話してみる
いきなり「相続の話をしよう」と切り出すと、身構えてしまうかもしれません。「この間、こんな記事を読んだんだけど…」と、この記事をきっかけにするのも良い方法です。まずはご自身の想いを伝え、ご家族がどう感じているか耳を傾ける、穏やかな対話の時間を持つことが大切です。
専門家はどこにいる?- 頼れる相談窓口と選び方
ご自身で整理を進める中で、専門的な知識が必要になったり、第三者の意見を聞きたくなったりすることもあるでしょう。そんな時は、一人で抱え込まずに専門家の力を借りるのが賢明です。それぞれ得意分野が異なりますので、目的に合わせて相談先を選びましょう。
- 税理士:相続税がどのくらいかかるか知りたい、節税について相談したい、という場合に頼りになります。
- 弁護士:ご家族の関係が複雑で、将来的に話し合いが難しくなりそうな場合に、法的な観点から整理してくれます。
- 司法書士:不動産の名義変更(相続登記)手続きの専門家です。遺言書の作成支援も行っています。
- 信託銀行:遺言書の作成から保管、執行までをトータルで任せたい場合に相談できます。
- ファイナンシャル・プランナー(FP):「まず何から始めたらいいかわからない」「誰に相談すべきか整理したい」という方にぴったりです。お金に関する全体像を把握し、中立的な立場で最適な専門家へ橋渡しをしてくれます。
多くの自治体では無料相談会も開催されています。まずはそういった場を利用して、話しやすいと感じる専門家を見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ:心豊かな未来を描くための第一歩
今回は、大切なご家族のために今からできる資産承継の準備についてお話ししました。最後に、大切なポイントを振り返ってみましょう。
- 資産承継の準備は、財産を守るだけでなく、ご家族への「想い」を伝える大切なコミュニケーションです。
- 2026年に向けて贈与のルールが変わりつつあり、早めの計画が鍵となります。
- スマートフォンの中にある「デジタル遺産」の整理は、これからの時代の必須事項です。
- まずは資産の棚卸しと、エンディングノートへの想いの書き出しから始めてみましょう。
- 一人で悩まず、必要に応じて専門家の力を借りることが、安心への近道です。
こうした準備は、「終わり支度」ではありません。これからの人生を、より安心して、心豊かに楽しむための「始まりの準備」です。
今日からできる小さな一歩として、まずはご自身のスマートフォンの中にある金融機関やサービスのアプリをリストアップしてみることから始めてみませんか?その小さな行動が、ご自身と大切なご家族の輝く未来へとつながっていくはずです。
免責事項
本記事で提供される情報は、記事作成時点のものです。税制、年金、法律などの制度は将来変更される可能性がありますので、必ず公式サイトや専門家にご確認ください。
また、本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品、法律、税務上のアドバイスを行うものではありません。個別の状況に応じた最終的な決定は、税理士、弁護士、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家にご相談の上、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

