マーケットニュース

2025年7月28日、週明けの金融市場は「米欧の電撃合意」というビッグニュースに揺れました。長らく市場の重石となっていた貿易戦争のリスクが一つ後退したことで、投資家心理は大きく改善しています。しかし、その裏ではEUが巨額の負担を約束しており、新たな火種もくすぶっています。本日のマーケットの動きと、その背景にある5つの重要ニュースを詳しく見ていきましょう。

マーケット概況(2025年7月28日)

週明け28日の米国市場は、米・EU間の関税交渉合意を好感し、主要株価指数がそろって上昇しました。ダウ平均株価は前週末比200ドル以上上昇し、4万4900ドル台で取引を終えています。この合意を受けて、世界経済の失速懸念が和らいだことが大きな要因です。一方、東京株式市場では、日経平均株価が457円安の4万998円と続落しました。4万円を超える株価水準への警戒感から、利益確定の売りに押される展開となりました。為替市場では、米欧合意を受けてリスクオンのドル買いが優勢となり、ドル円は1ドル=148円台半ばまで上昇しました。貿易戦争への懸念後退から米国株は上昇したものの、その裏で結ばれた合意内容の複雑さや、依然として残る米中問題など、市場は楽観一色とは言えない状況です。

米EU、関税15%で電撃合意!貿易戦争は回避か?

トランプ米大統領とEUのフォンデアライエン欧州委員長は、懸案だった関税問題で電撃的に合意しました。当初懸念されていた30%という高い関税は見送られ、大半のEU製品に対して一律15%の関税を課すことで決着しました。この見返りとして、EUは米国に6000億ドル(約90兆円)という巨額の投資を行うほか、米国のエネルギー製品や軍事装備品を大量に購入することを約束しました。この合意により、世界経済を揺るがしかねなかった米欧間の全面的な貿易戦争は、ひとまず回避された形となり、市場に大きな安心感をもたらしました。

EU、巨額投資で窮地に?!米欧合意の光と影

貿易戦争の回避という「光」の側面がある一方で、今回の合意には大きな「影」も存在します。それは、EUが約束した6000億ドルという巨額の対米投資です。この莫大な資金負担は、ただでさえ景気減速が懸念される欧州経済にとって、極めて重い足かせとなる可能性があります。市場では、この投資がEUの財政を圧迫し、将来的な景気後退を引き起こすのではないかとの懸念が早くも浮上しており、ユーロが売られる一因となっています。貿易戦争を回避した代償は、決して小さくないかもしれません。

日本経済への影響は?政府は米EU合意を評価

日本政府は、先んじて米国と関税率15%で合意しており、今回の米EU間の合意を「世界経済のリスクを低下させるもの」として評価しています。世界経済の二大プレイヤーである米国とEUの対立が回避されたことは、輸出に経済を依存する日本企業にとって追い風となる可能性があります。しかし、最大の懸念材料である米中間の貿易摩擦は依然として続いており、その行方次第では日本経済への悪影響が再び強まる可能性も残されています。今回の合意を楽観視するのはまだ早いでしょう。

米中通商協議が再開!世界経済の行方は?

米欧の電撃合意の裏で、もう一つの重要な動きがありました。米国と中国の新たな通商協議が、28日からスウェーデンで開始されたのです。米EU間の交渉が妥結した直後というタイミングでの協議再開は、中国に対して交渉を有利に進めたい米国の思惑が透けて見えます。この米中協議の行方は、今後の世界経済の方向性を決定づける最も重要な要素であり、投資家は固唾をのんでその進展を見守っています。

玄海原発にドローン侵入、安全保障上の懸念高まる

海外の貿易問題に注目が集まる中、国内では安全保障を揺るがす事件が発生しました。26日夜、佐賀県にある九州電力・玄海原子力発電所の敷地内で、ドローン3機が飛行していたことが確認されたのです。飛行目的や操縦者は不明で、テロなどの可能性も否定できません。この事件は、日本の重要インフラである原子力発電所の防衛体制に大きな課題を突きつけるものであり、エネルギー政策や安全保障のあり方について、改めて国民的な議論を呼ぶことになりそうです。

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