マーケットニュース

2025年7月21日、月曜日。週明けの世界の金融市場は、米中間の技術覇権争いや、米国とEUの関税問題といった地政学リスクの高まりを背景に、緊張感に包まれたスタートとなりました。今日の市場の動きと、その背景にある重要ニュースを分かりやすく解説していきます。

マーケット概況(2025年7月21日)

7月21日の米国株式市場は、まちまちな展開となりました。ダウ平均株価は小幅に下落して44,323.07ドル(-0.04%)で終えた一方、S&P500は6,305.60ポイント(+0.14%)、ナスダック総合指数は20,974.18ポイント(+0.38%)と、それぞれ小幅に上昇しました。午後に米議会予算局(CBO)が財政赤字拡大の試算を発表すると、長期金利が上昇し、株式市場の上値を抑えました。為替市場では、週末の参院選後、リスク回避の動きから円が買われ、ドル円は一時147円台まで円高が進行しました。コモディティ市場では、WTI原油が1バレル=66ドル台に続落した一方、安全資産とされる金は3,391ドル近辺まで上昇しました。米中・米EU間の貿易摩擦という大きな不確実性を前に、市場は神経質な動きを見せており、資産クラスごとに方向感が異なる「まだら模様」の展開となっています。

米中ハイテク戦争、新たな局面へ!中国が戦略物資の輸出規制拡大か

米中の対立は、関税の応酬から、半導体やAIといった先端技術の覇権争いへと主戦場を移しています。トランプ政権は、安全保障を理由にAIや量子コンピューター、先端半導体といった分野で米国企業が中国へ投資することを厳しく規制しています。これに対し中国側も、半導体の材料となるガリウムやゲルマニウムの輸出を規制するなどの対抗措置を取ってきました。そして今、中国がレアアースを含む2000品目以上の戦略的鉱物資源に輸出規制を拡大する可能性が報じられており、緊張はさらに高まっています。テクノロジー分野での報復の応酬は、世界のハイテク産業のサプライチェーンを分断しかねず、関連企業は生産体制の再構築という大きな課題に直面しています。

米国、EUに30%の報復関税を警告!大西洋を挟んだ貿易戦争の懸念高まる

米中摩擦に続き、米国と欧州連合(EU)との間でも貿易摩擦の火種がくすぶっています。トランプ米大統領は、EUからの輸入品に対し8月1日から30%という高い関税を課す可能性を示唆しました。これに対しEU側は、交渉による解決を優先するとして即時の対抗措置は見送る構えですが、水面下では報復措置の準備を進めています。特にドイツなどの輸出主導型経済にとって、米国の関税は深刻な打撃となりかねません。もし実際に関税が発動されれば、世界第1位と第2位の経済圏の対立となり、すでに減速懸念のある世界経済をさらに下押しする大きなリスクとなります。

貿易戦争の余波、日常生活にも。香港郵便、米国向け小包サービスを停止

米中間の対立が、私たちの日常生活やビジネスに直接的な影響を及ぼす事例も出てきています。米国政府が中国や香港から発送される少額貨物への関税免除を停止したことを受け、香港郵便は米国向けの小包郵便の引き受けを一時停止するという事態に発展しました。この措置は、特に越境EC(電子商取引)プラットフォームを利用する多くの消費者や中小企業に影響を与えました。この一件は、貿易戦争の影響がハイテクなどの特定産業にとどまらず、グローバルな物流網や多くの消費者が利用するEコマースにまで及んでいることを示しています。

暗号資産市場でイーサリアムが独歩高、機関投資家の資金流入が追い風

世界経済への不透明感から株式市場が神経質な動きを見せる中、暗号資産市場ではイーサリアム(ETH)が市場全体をアウトパフォームし、独歩高の展開となっています。イーサリアムはこの24時間で約6%上昇し、一時3,800ドルを突破しました。この背景には、週末に「クジラ」と呼ばれる大口投資家が大量に購入したとの観測や、大手マイニング企業ビットマインのイーサリアム保有額が10億ドルを超えたといったニュースがあり、機関投資家の関心の高さがうかがえます。イーサリアムの力強い上昇は、暗号資産市場内でも、個別の材料や機関投資家の資金フローによって、他の資産とは異なる独自の動きが生まれることを示しています。

参院選通過後の日本市場、円高と世界情勢をにらみ神経質な展開

週末の7月20日に行われた参議院選挙を受け、週明けの日本市場は海外情勢をにらみながらの神経質な展開となりました。市場で最も顕著だった動きは円高の進行で、ドル円は一時147円台まで上昇しました。これは、地政学リスクの高まりを受けた安全資産としての円買いの動きと見られます。海外では米中のハイテク摩擦や米EUの関税問題が激化しており、世界経済の先行き不透明感が強まっています。国内の政治イベントを通過したものの、円高の進行と海外発のネガティブなニュースが重なり、特に輸出関連企業にとっては厳しい事業環境が意識され、株式市場の上値を重くしています。

免責事項

本記事で提供される情報は、公開情報に基づいて作成されており、その正確性や完全性を保証するものではありません。記載された見解は、記事作成時点での筆者のものであり、将来予告なく変更されることがあります。

また、本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。個別銘柄についての言及は、あくまでテーマの解説を目的とした例示です。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任と判断において行っていただきますようお願い申し上げます。

おすすめの記事