2025年7月18日の金融市場は、力強い経済指標を背景に続伸する米国市場と、重要な国内イベントを前に様子見ムードが強まる日本市場という、対照的な展開が際立ちました。為替市場ではドルが底堅く推移し、暗号資産市場では規制整備への期待を背景とした活発な動きが見られます。複雑化する市場の「今」を、5つの主要トピックで詳しく解説していきます。
マーケット概況(2025年7月18日)
2025年7月18日の市場では、米国株が堅調な経済指標を好感して続伸し、S&P500とナスダック総合指数は最高値を更新しました。ダウ平均株価は前日比0.52%高の44,484.49ドルで取引を終えています。一方、東京株式市場では日経平均株価が反落し、前日比82.08円安の39,819.11円で引けました。朝方には一時4万円台を回復する場面もありましたが、週末の参議院選挙を前に利益確定売りに押される形となりました。為替市場では、ドル円が1ドル=148円台後半で底堅く推移。コモディティ市場では、WTI原油先物が1バレル=67ドル台に反発し、金価格はドル高を受けて軟調な展開でした。堅調な米国経済を背景にリスクオンムードが広がる一方で、日本の政治情勢など各国の個別要因に市場の関心が移っており、世界経済の「まだら模様」が一層鮮明になっています。
米国市場:堅調な経済指標とTSMC決算が追い風、主要3指数は続伸
7月17日(現地時間)の米国株式市場は、主要3指数がそろって続伸しました。S&P500は0.54%、ハイテク株中心のナスダック総合は0.75%上昇し、連日で史上最高値を更新しました。この日の市場を力強く押し上げたのは、朝方発表された堅調な経済指標です。6月の小売売上高が市場予想を上回る伸びを示したほか、週間の新規失業保険申請件数も5週連続で減少し、米経済の底堅さを証明しました。また、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が好決算を発表したことも、半導体関連株やハイテク株全般への買い安心感につながりました。インフレ懸念がくすぶる中でも、力強い個人消費と安定した雇用が米国経済を支えており、これが株式市場への資金流入を促す大きな要因となっています。
日本市場:参院選を前に方向感に乏しい展開、一時4万円回復も反落
18日の東京株式市場で、日経平均株価は3営業日ぶりに反落しました。取引開始直後には買いが先行し、取引時間中としては2週間ぶりに4万円の大台を回復する場面も見られましたが、その後は失速しました。終値は前日比82.08円安の39,819.11円、TOPIXも5.33ポイント安の2,834.48で取引を終えています。市場の重しとなったのは、7月20日に投開票を控える参議院議員選挙です。選挙結果と、その後の政権運営や経済政策の方向性を見極めたいとの投資家心理が強く、高値圏では利益を確定する売りが優勢となりました。特に、前日に相場を牽引した半導体関連株が売られたことも、相場全体の上値を抑える要因となりました。
為替・コモディティ:ドル円は148円台後半で推移、原油は反発
外国為替市場では、ドル円が1ドル=148円台後半を中心とした比較的落ち着いた値動きとなりました。米国の堅調な経済指標を受けてFRB(米連邦準備制度)の利下げ観測が後退しており、日米の金利差を意識したドル買い・円売りが相場を支えています。ユーロ円は1ユーロ=172円台から173円台で取引されました。コモディティ市場では、WTI原油先物価格が4営業日ぶりに反発し、1バレル=67.54ドルで取引を終えました。需給の引き締まりが意識されたことが買い材料となりました。一方、ニューヨーク金先物価格は、ドル高が重しとなり反落しています。米国の金融政策の方向性を占う上で、今後もインフレ関連指標や雇用統計などの経済データが、為替やコモディティ市場の動向を左右する重要な鍵となります。
暗号資産:規制整備への期待高まるも、高値警戒感から利益確定売り
暗号資産市場では、規制整備への期待感と短期的な過熱感による利益確定売りが交錯する展開となりました。ビットコイン(BTC)は、一時12万ドルに迫る史上最高値圏まで上昇した後、利益確定売りに押されて11万8000ドルを割り込む場面もありました。一方で、市場の根底にはポジティブなムードが流れています。米国ではステーブルコインの規制法案が下院で可決され、暗号資産に対する法整備が進展していることが好感されています。また、ビットコインやイーサリアムに続き、XRPなどの現物ETFが承認されることへの期待も高まっています。米国での法整備の前進や、日本国内での税制改正への期待など、暗号資産が新たな資産クラスとして制度的に受け入れられていくとの見方が、市場の長期的な支援材料となっています。
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