マーケットニュース

昨日のマーケット概況(2025年10月06日)

2025年10月6日の世界の金融市場は、各地域で大きな材料が観測され、強弱入り乱れる展開となりました。日本では、自民党新総裁に金融緩和に積極的な高市氏が選出されたことを受け、日経平均株価が4.3%と大幅に上昇し史上最高値を更新。一方、為替市場では円が売られ、ドル円は一時1ドル150円に迫る水準まで円安が進行しました。米国市場では、政府機関の一部閉鎖が継続する中、FRBによる25bpの利下げが実施されました。これが市場のセンチメントを支える一方、一部では既に景気後退局面に入っているとの見方も浮上し、先行き不透明感は拭えません。欧州市場は、米国での利下げ期待とAI・半導体関連のテクノロジー株高を背景に堅調に推移し、STOXX600指数が史上最高値を更新しました。強弱入り乱れる材料の中、各国株式市場は政治・金融政策への期待感を背景に高値圏で推移する一方、安全資産である金も同時に買われるという複雑な様相を呈しています。コモディティ市場では、米政府閉鎖への懸念から安全資産とされる金(ゴールド)が史上最高値を更新。暗号資産市場でもビットコインが最高値を記録するなど、市場全体が大きな変動の渦中にあります。

高市新総裁ショック!日経平均は祝砲の最高値、円は150円の崖っぷちへ

日本の政局が金融市場を大きく揺るがしました。与党・自由民主党の新総裁に、かねてより積極的な金融緩和と財政出動を主張してきた高市早苗氏が選出されたのです。市場はこの結果を「アベノミクスの継続・強化」と受け止め、即座に反応しました。日経平均株価は4.3%という驚異的な上昇を見せ、バブル期を超える史上最高値を更新。投資家心理が一気に強気に傾いたことを示しています。高市氏が掲げる積極的な金融緩和と財政出動、いわゆる「アベノミクス」路線の継続期待が、日本株への強力な追い風となった形です。しかし、光があれば影もあります。外国為替市場では、日本の金融緩和が長期化するとの見方から円が全面的に売られ、対ドルで1.5%下落。1ドル=150円という、多くの市場関係者が意識する節目に迫りました。株高は資産を持つ層にとっては朗報ですが、円安の進行はガソリンや食料品などの輸入価格を押し上げ、国民の生活コストを増大させるリスクをはらんでいます。短期的には日本株の上昇が期待されるものの、円安の副作用にどう対処していくのか、新政権の手腕が問われることになります。

見えない米国経済の真実。政府閉鎖の裏で忍び寄る100万人失業の影

米国経済は今、深い霧に包まれています。政府機関の一部閉鎖が2週目に入り、本来なら市場の羅針盤となるはずの雇用統計などの重要経済指標の発表がストップ。投資家は手探りでの航海を強いられています。市場ではFRB(連邦準備制度理事会)が25ベーシスポイントの利下げに踏み切ったことを好感するムードもありますが、その背景には深刻な景気減速への懸念が横たわっています。公式な経済指標の発表が遅れる中、水面下では既に景気後退が進行し、100万人規模の失業者が発生するとの予測も出ており、市場の楽観ムードに冷や水を浴びせる可能性を秘めています。AI関連投資の活況が経済全体の悪化を覆い隠しているとの指摘もあり、実態は見た目以上に悪いのかもしれません。こうした状況下、大手地銀フィフス・サード・バンクによるコメリカ買収が発表されました。これは金融不安の再燃というより、金利環境の変化と将来の収益悪化を見越した業界再編の動きと見られています。経済指標が復活し、企業の決算発表が本格化するまで、米国経済の真の姿を見極めるのは困難な状況が続きそうです。

米中デカップリング終焉か?中国が突きつけた『超大型投資』という名の交渉カード

長年にわたり世界経済の最大のリスクとされてきた米中対立に、雪解けの兆しが見えてきました。中国が、米国による中国企業への安全保障上の規制を緩和することを条件に、記録的な規模の対米投資パッケージを提案していることが明らかになったのです。これは単なる経済協力の話にとどまりません。一部輸入品に対する関税の引き下げも交渉材料に含まれており、実現すれば世界のサプライチェーンと地政学の地図を塗り替えるほどのインパクトを持ちます。この動きが実現すれば、長年世界の金融市場の重しとなってきた米中対立のリスクが大幅に後退し、グローバルな株価上昇の起爆剤となる可能性があります。過去10年間、「デカップリング」という言葉に象徴されるように、米中の経済的な分断は進む一方でした。今回の提案は、その大きな流れを逆転させようとする中国側の明確な意思表示と言えます。もちろん、交渉はまだ始まったばかりであり、安全保障を重視する米国内の反対勢力も根強いため、楽観はできません。しかし、対立から協調へと舵が切られる可能性が出てきたこと自体が、市場にとっては大きなポジティブサプライズであり、今後の両国の対話の行方を世界が固唾をのんで見守っています。

安全資産とリスク資産が同時爆騰!金とビットコインが最高値を更新した本当の理由

市場で極めて異例の現象が起きています。伝統的な「安全資産」の代表である金(ゴールド)と、「リスク資産」の筆頭格であるビットコインが、時を同じくして史上最高値を更新したのです。通常、市場が不安定になると金が買われ(リスクオフ)、市場が楽観的になるとビットコインのような資産が買われる(リスクオン)傾向があります。この二つが同時に高騰するのはなぜでしょうか。この一見矛盾した動きの背景には、米政府の機能不全や金融緩和政策に対する「法定通貨への不信感」があり、投資家が代替となる価値の保存手段を模索していることの表れと言えるでしょう。米国の政府閉鎖やFRBによる利下げは、ドルの信認を揺るがし、その価値を相対的に低下させる要因となります。投資家たちは、国家が発行・管理する通貨(法定通貨)システムそのものへの不安から、発行量に上限がある金や、非中央集権的なビットコインへと資金を逃避させている可能性があります。これは、インフレへの懸念だけでなく、既存の金融システム全体への問いかけとも言えます。ポートフォリオのヘッジ手段として、これらの資産の重要性が今後さらに高まっていくことを示唆しています。

米国だけじゃない!AI・半導体ブームに沸く欧州市場、史上最高値更新の快進撃

世界の株式市場の主役は、もはや米国のハイテク企業だけではありません。欧州株式市場が、力強い上昇を見せています。欧州全体の動きを示すSTOXX欧州600指数が史上最高値を更新し、ドイツのDAXやフランスのCAC40といった主要国の指数も最高値圏に迫る勢いです。この快進撃を牽引しているのが、AI(人工知能)と半導体関連のテクノロジーセクターです。これまでGAFAMに代表される米国企業に注目が集まりがちでしたが、欧州には半導体製造装置で世界トップシェアを誇るASML(オランダ)や、企業の基幹システムを支えるSAP(ドイツ)など、世界的な競争力を持つ優良企業が数多く存在します。これは、世界的なAI・半導体ブームが米国だけでなく欧州にも波及し、投資家の資金が新たな成長市場を求めてグローバルに還流し始めていることを示唆しています。米FRBの利下げ期待が世界的なリスクオンムードを後押ししていることも、金利に敏感なテクノロジー株には追い風です。米国株に比べてバリュエーション(株価評価)が割安な銘柄も多いことから、分散投資の対象として欧州株の魅力が再評価されていると言えるでしょう。

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