金融・資産運用 用語解説

こんにちは!あなたの資産形成を全力でサポートするファイナンシャル・プランナーです。株式投資を始めたばかりのとき、「この株、本当に今が買い時なのかな?」「なんだか高そうに見えるけど、気のせい?」と不安に感じたことはありませんか?そのモヤモヤ、実は「PER」というたった一つの指標を理解するだけで、大きく解消できるかもしれません。

PERを知らないと、雰囲気やニュースのヘッドラインだけで株価の割高・割安を判断してしまい、気づかぬうちに高値掴みをしてしまう危険性があります。一方で、PERを理解すれば、企業の「稼ぐ力」に対して株価がどの程度の水準にあるのかを客観的に測る「ものさし」を手に入れることができます。これは、まるで暗闇を照らす懐中電灯のように、あなたの投資判断を力強くサポートしてくれるでしょう。この記事を読めば、PERを使いこなし、関連用語のPBRやROEと組み合わせることで、より精度の高い投資判断ができるようになります。さあ、一緒に「根拠のある投資」への第一歩を踏み出しましょう!

PER(株価収益率)とは?- まずは基本を1分で理解

PER(ピーイーアール、またはパー)とは、Price Earnings Ratioの略で、日本語では「株価収益率」と言います。難しく聞こえるかもしれませんが、要は「現在の株価が、その会社の1株当たりの利益の何倍になっているか」を示す指標です。

例えるなら、「利益を生む機械」の値段が、その機械が1年間に生み出す利益の何倍か、と考えると分かりやすいでしょう。例えば、年間10万円の利益を生む機械が150万円で売られていたら、PERは15倍(150万円 ÷ 10万円)です。これは、「投資したお金を回収するのに15年かかる」という見方もできます。この数字が小さいほど、その機械(=株)は利益に対して「お買い得(割安)」と判断でき、逆に大きいほど「割高」と判断される傾向にあります。

つまり、PERは企業の収益力という側面から、株価の割安度・割高度を測るための非常にポピュラーな「ものさし」なのです。

なぜ重要?PERが投資判断の武器になる理由

PERがなぜこれほど重要視されるのか。それは、投資家が企業の株価を評価する上で、客観的で比較しやすい基準となるからです。

例えば、あなたが自動車業界のA社とB社、どちらに投資するか迷っているとします。A社の株価は3,000円、B社の株価は5,000円でした。これだけ見ると、A社の方が安く感じますよね。しかし、ここでPERを見てみましょう。A社のPERが30倍、B社のPERが10倍だったとしたらどうでしょうか?

これは、B社の方が利益に対して株価が圧倒的に割安であることを示しています。株価の絶対額だけでは見えてこない「本質的な割安度」をPERは教えてくれるのです。このように、同業他社と比較することで、どちらの企業がより投資妙味があるかを判断する強力な材料になります。

また、市場全体の熱狂や悲観に流されず、冷静に株価水準を判断するためにも役立ちます。ただし、IT企業など将来の大きな成長が期待される企業のPERは高くなる傾向があるため、PERが高いからといって一概に「悪い」とは言えない点には注意が必要です。PERを正しく使うことで、あなたの投資は「なんとなく」から「根拠のある」ものへと進化します。

図解で学ぶ!PERの計算方法と目安

PERの計算方法はとてもシンプルです。この式は必ず覚えておきましょう。

計算式: PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり純利益(EPS)

ここで出てくる「1株当たり純利益(EPS)」とは、会社が1年間で稼いだ最終的な利益(当期純利益)を発行済みの株式数で割ったものです。つまり、「株1枚あたりの利益額」を示します。EPSが高いほど、その会社は効率的に稼いでいると言えます。

目安:

PERの目安は、業種や市場環境によって異なりますが、一般的には以下のように言われています。

  • 15倍以下: 割安
  • 15倍~20倍: 適正水準
  • 20倍以上: 割高

日本の株式市場全体(日経平均株価)の平均PERは、おおむね15倍前後で推移することが多いです。そのため、15倍が一つの基準とされています。しかし、最も重要なのは、この数字を絶対視せず、必ず「同業他社」や「その企業の過去のPER」と比較することです。成長性の高いIT業界の平均PERは30倍を超えることもあれば、安定したインフラ業界では10倍程度が普通ということもあります。比較して初めて、そのPERが本当に割安なのかが見えてくるのです。

実践!PERを投資にどう活かすか

理論を学んだら、次は実践です。実際に証券会社のアプリなどを使ってPERをどう活用するのか、ステップで見ていきましょう。

ステップ1:気になる企業を見つけてPERをチェックする
まず、投資したい企業を見つけます。例えば、世界的な自動車メーカーである「トヨタ自動車」に興味を持ったとしましょう。証券会社のアプリやウェブサイトでトヨタ自動車の個別銘柄ページを開くと、「指標」や「銘柄スカウター」といった項目に必ずPERが表示されています。仮に、現在のPERが「10.5倍」だったとします。

ステップ2:同業他社と比較する
次に、同じ自動車業界のライバル企業と比較します。例えば、「本田技研工業」のPERが9.0倍、「日産自動車」のPERが7.5倍だったとします。この情報から、「トヨタは日産よりは割高だが、業界水準としては極端に高いわけではなさそうだ」といった仮説を立てることができます。

ステップ3:その企業の過去のPERと比較する
最後に、トヨタ自動車自身の過去のPER推移をチェックします。多くの証券ツールでは、過去3年や5年のPERの推移をグラフで見ることができます。もし、トヨタの過去5年間の平均PERが12倍だったとしたら、現在の10.5倍という水準は「過去と比べて割安な水準にある」と判断できます。新技術への期待で将来の利益成長が見込めるのに過去よりPERが低いのであれば、絶好の投資機会かもしれません。

このように、PERは単独の数字で判断するのではなく、「比較」することで初めてその真価を発揮するのです。

一緒に覚えたい!関連用語(PBR, ROE)の解説

PERだけでも強力な武器になりますが、「PBR」と「ROE」を一緒に使うことで、分析の精度は飛躍的に高まります。まさに投資の三種の神器です。

PBR(株価純資産倍率)とは?
PBR(Price Book-value Ratio)は、「株価が1株当たりの純資産の何倍か」を示す指標です。「純資産」とは、会社の総資産から負債を引いた、いわば「会社の正味の財産」のこと。PBRが1倍なら、株価と会社の解散価値(仮に会社を清算したときに株主に戻ってくる価値)が同じということになります。もしPBRが1倍を大きく下回る0.7倍などであれば、それは「会社の持ち物すべての値段より、株価の合計額の方が安い」という極めて割安な状態を示唆します。PERが「収益力(フロー)」の面から株価を測るのに対し、PBRは「資産(ストック)」の面から割安度を測る、という違いがあります。

ROE(自己資本利益率)とは?
ROE(Return On Equity)は、「株主が出したお金(自己資本)を使って、会社がどれだけ効率よく利益を上げているか」を示す指標で、いわば「企業の稼ぐ上手さ」を表します。ROEが高いほど、経営が上手いと言えます。一般的に、ROEが8%〜10%を超えると優良企業の一つの目安とされます。投資家としては、自分が出したお金を効率的に増やしてくれる、ROEの高い企業に投資したいと考えるのが自然ですよね。

三種の神器を使いこなす
この3つの指標には、「PER = PBR ÷ ROE」という関係式があります。この式が示すのは、ROE(稼ぐ効率)が高い企業は、PBR(資産面での評価)が高くても、PER(収益面での評価)は割安になりうる、ということです。例えば、PBRが2倍と割高に見えても、ROEが驚異の20%であれば、PERは10倍(2 ÷ 0.2)となり、十分に割安と判断できるケースもあります。このように3つの指標を組み合わせることで、「なぜこの株はPERが高いのか?」「このPBRの低さは魅力的なのか?」といった疑問に、より深く多角的に答えることができるのです。

まとめ:重要ポイントの振り返り

最後に、今日の重要ポイントを振り返りましょう。これだけは絶対に覚えて帰ってくださいね。

  • PERは「株価が1株当たり利益の何倍か」を示す指標。数値が低いほど、利益面から見て株価は割安と判断できる。
  • PERの数字だけで判断するのはNG。「同業他社」や「その企業の過去のPER推移」と比較することが不可欠。
  • PBRは「資産」の面から割安度を測る指標。1倍割れは解散価値より株価が安いことを意味する。
  • ROEは「企業の稼ぐ上手さ」を示す指標。高いほど効率的な経営ができている証拠。
  • 「PER・PBR・ROE」の3つをセットで見ることで、企業の収益力、資産価値、経営効率を総合的に評価でき、投資判断の精度が格段に向上する。

免責事項

本記事で提供される情報は、教育および情報提供を目的としたものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。記載された内容は、記事作成時点での情報に基づいています。

また、本記事は特定の金融商品の購入や売却を推奨、勧誘するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

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