金融・資産運用 用語解説

こんにちは!皆さんの資産形成を全力でサポートするファイナンシャル・プランナーです。「不動産に投資して、家賃収入のような安定した収益が欲しいな」と考え、REIT(リート)に興味を持った方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ調べてみると「FFO」「NOI利回り」「NAV」…など、謎のアルファベットや専門用語のオンパレードで、そっとページを閉じてしまった経験はありませんか?

実は、これらの用語を知らないままREITに投資するのは、健康診断の結果を見ずに自分の健康状態を判断するようなもの。割高な銘柄を高値掴みしてしまったり、見かけの利回りの高さに騙されて実は収益力の低い物件に投資してしまったりと、思わぬ損失を被る可能性があります。逆に、これらの用語をしっかり理解すれば、REITの「健康状態」や「本当の実力」を自分自身で見抜けるようになります。まるでレントゲン写真で内部を詳しく見るように、投資対象を深く理解し、自信を持って賢明な判断を下せるようになるのです。この記事では、REIT投資で成功するための「5つの武器」となる必須用語を、世界一分かりやすく解説します。一緒に学んで、REIT投資のプロへの第一歩を踏み出しましょう!

テーマ1:FFO(Funds From Operations)- REITの収益力を測る核心指標

FFOとは?- まずは基本を1分で理解

FFOとは、一言でいうと「REITが本業の不動産賃貸事業でどれだけ現金(キャッシュ)を稼いだか」を示す指標です。株式会社でいう「営業キャッシュフロー」に近いイメージですね。会計上の利益である「純利益」に、実際にはお金の支出を伴わない「減価償却費」などを足し戻して計算します。これにより、REITが投資家への分配金の原資をどれだけ生み出しているのか、その実力をより正確に把握することができます。

なぜ重要?FFOが投資判断の武器になる理由

不動産投資では、保有する建物などの価値が年々減少していくと見なし、会計上で「減価償却費」という費用を計上します。しかし、これは帳簿上の費用であり、実際に財布からお金が出ていくわけではありません。そのため、純利益だけを見ると、この減価償却費の分だけ利益が小さく見えてしまい、REITの本当の収益力を見誤ってしまうのです。
FFOは、この「実際にはお金が出ていかない費用(減価償却費)を足し戻す」ことで、REITが安定的に生み出すキャッシュフローの実態を明らかにします。つまり、FFOを見ることで、そのREITが将来にわたって安定的に分配金を支払える体力があるかどうかを判断する重要な手がかりになるのです。

図解で学ぶ!FFOの計算方法と目安

計算式: FFO = 当期純利益 + 減価償却費 ± 不動産売買損益など

目安: FFO単体で見るよりも、投資口価格がFFOの何倍かを示す「P/FFO倍率(FFO倍率)」がよく使われます。これは株式投資のPER(株価収益率)に相当する指標です。一般的に15倍~20倍程度が目安とされますが、オフィス、住居、物流施設といった物件のタイプや市場全体の状況によって変動します。

実践!FFOを投資にどう活かすか

証券会社のウェブサイトや、各REITが公表している決算短信でFFOやP/FFO倍率を確認できます。例えば、AリートのP/FFO倍率が16倍、Bリートが22倍だったとします。この場合、市場はBリートの方が将来性が高いと評価している(人気がある)一方、AリートはBリートに比べて割安である、と考えることができます。もちろん、これだけで投資判断はできませんが、同種の物件を扱うREIT同士を比較する際に非常に有効なものさしとなります。

一緒に覚えたい!関連用語(純利益, 減価償却費)の解説

  • 純利益:売上から全ての費用と税金を差し引いた、最終的な企業の利益です。しかし前述の通り、REITの場合は減価償却費の影響が大きいため、純利益だけではキャッシュを生み出す力は正確に測れません。
  • 減価償却費:建物や設備などの固定資産の取得費用を、その資産が使える年数(耐用年数)にわたって分割して費用計上する会計処理のことです。実際にお金が出ていくわけではない「非現金支出費用」の代表格です。

テーマ2:NOI利回り - 不動産そのものの収益性を評価する

NOI利回りとは?- まずは基本を1分で理解

NOI利回りとは、「不動産そのものの純粋な収益力」を測るための指標です。物件から得られる家賃収入などの総収入から、固定資産税や管理委託費、修繕費といった運営にかかる費用(運営費用)を差し引いた純粋な営業利益(NOI)が、物件の取得価格に対して何パーセントになるかを示します。表面的な利回りではなく、コストを考慮した「実質的な利回り」と考えると分かりやすいでしょう。

なぜ重要?NOI利回りが投資判断の武器になる理由

不動産広告でよく目にする「表面利回り」は、単純に年間の家賃収入を物件価格で割っただけのものです。ここには、物件を維持・管理するための必須コストが含まれていません。そのため、見かけの利回りは高くても、実は管理費や修繕費がかさんで手元に残る利益はわずか…というケースもあり得ます。NOI利回りは、こうした運営費用を考慮した実質的な収益力を示すため、物件の「本当の稼ぐ力」を正確に比較・評価するために不可欠な指標なのです。

図解で学ぶ!NOI利回りの計算方法と目安

計算式: NOI利回り(%) = NOI(純営業収益) ÷ 不動産の取得価格 × 100

目安: NOI利回りは物件の所在地(都心か地方か)や用途(オフィス、住宅、商業施設など)、築年数によって大きく異なります。例えば、都心のオフィスビルであれば4%台、地方の商業施設であれば6%台など、一概には言えませんが、同じカテゴリーの物件を比較する際の重要な判断基準になります。

実践!NOI利回りを投資にどう活かすか

REITの決算説明資料などを見ると、保有しているポートフォリオ全体のNOI利回りや、個別の物件のNOI利回りが記載されていることがあります。例えば、複数のオフィス特化型REITを比較する際に、「AリートのポートフォリオNOI利回りは4.5%、Bリートは4.2%だから、物件の収益性ではAリートが優れているな」といった評価ができます。ただし、利回りが高い物件はリスクも高い傾向があるため、なぜ利回りが高いのか(築年数が古い、地方にあるなど)その背景も合わせて確認することが大切です。

一緒に覚えたい!関連用語(NOI, 運営費用)の解説

  • NOI(Net Operating Income):純営業収益。不動産の賃料収入から、運営費用を差し引いた利益のことです。借入金の返済元本・利息や減価償却費は含まれません。
  • 運営費用:不動産を運営するために必要な経費のこと。固定資産税・都市計画税、損害保険料、管理委託費、修繕費などが含まれます。

テーマ3:NAV(Net Asset Value)- REITの「資産価値」を理解する

NAVとは?- まずは基本を1分で理解

NAVとは、「REITの純資産価値」のことです。もしREITが今すぐ解散すると仮定した場合、保有する不動産などをすべて時価で売却し、銀行からの借入金などの負債をすべて返済した後に、投資家の手元にいくら残るのかを示したものです。「一口あたりNAV」は、その純資産価値を発行済みの投資口数で割ったもので、REITの一口あたりの理論的な価値(解散価値)を表します。

なぜ重要?NAVが投資判断の武器になる理由

株式投資で株価の割安・割高を判断する際にPBR(株価純資産倍率)が使われるように、REITでは投資口価格がNAVに対して割安か割高かを判断するために使われます。現在の投資口価格が一口あたりNAVよりも安ければ、そのREITは「資産価値に比べて割安である」と判断できます。逆に、投資口価格がNAVを大幅に上回っていれば、将来の成長への期待が価格に織り込まれている「割高」な状態と考えることができます。

図解で学ぶ!NAVの計算方法と目安

計算式: 一口あたりNAV = (総資産の時価評価額 - 負債総額) ÷ 発行済投資口数

目安: NAVそのものより、投資口価格を一口あたりNAVで割った「P/NAV倍率(NAV倍率)」が重要です。この倍率は1倍が基準となり、1倍を下回ると割安、1倍を上回ると割高と判断される傾向にあります。ただし、人気のREITは常に1倍を上回っていることも多く、一概に1倍以上が悪いというわけではありません。

実践!NAVを投資にどう活かすか

各REITのウェブサイトや決算資料で一口あたりNAVは確認できます。例えば、あるREITの投資口価格が15万円で、一口あたりNAVが16万円だとします。この場合、P/NAV倍率は0.94倍(15万÷16万)となり、資産価値から見れば割安な水準にあると判断できます。市場が何らかの理由でこのREITを過小評価している可能性があり、投資のチャンスかもしれません。逆に、人気のREITがP/NAV倍率1.2倍で取引されている場合、それは高い成長期待が織り込まれている証拠とも言えます。

一緒に覚えたい!関連用語(P/NAV倍率)の解説

  • P/NAV倍率(NAV倍率):投資口価格(Price)が一口あたりNAVの何倍かを示す指標。株式におけるPBR(株価純資産倍率)とほぼ同じ意味合いで使われ、REITの割安・割高感を測る代表的な指標です。

テーマ4:分配金 - REITからの「収入」の源泉と特徴

分配金とは?- まずは基本を1分で理解

分配金とは、REITが不動産賃貸事業などで得た利益の中から、投資家に還元(分配)されるお金のことです。株式会社でいう「配当金」とほぼ同じものと考えてください。多くのREITは年に2回(中には毎月分配の銘柄も)決算を行い、その都度、投資家は保有口数に応じた分配金を受け取ることができます。この定期的な収入(インカムゲイン)が、REIT投資の最大の魅力の一つです。

なぜ重要?分配金が投資判断の武器になる理由

REITは、株式と比較して分配金の利回りが高い傾向にあります。その背景には、REIT特有の税制上の仕組みがあります。実は、REITは利益の90%超を投資家に分配するなどの一定の要件を満たすと、その分配金が経費として認められ、法人税が実質的にかからなくなるのです。これを「法人税繰延効果」と呼びます。会社側で税金が引かれずに利益のほとんどが投資家に還元されるため、結果として高い分配金利回りが実現しやすくなるのです。この仕組みを理解することが、REITの魅力を深く知る鍵となります。

図解で学ぶ!分配金の計算方法と目安

計算式: 分配金利回り(%) = 1口あたりの年間分配金 ÷ 投資口価格 × 100

目安: J-REIT全体の平均分配金利回りは、市況にもよりますが3%~4%台で推移することが多いです。これは東証プライム上場企業の平均配当利回り(約2%前後)と比べても魅力的な水準と言えます。個別銘柄によっては5%を超えるものも存在します。

実践!分配金を投資にどう活かすか

「年間で4%のインカムゲインが欲しい」といった目標がある場合、分配金利回りは銘柄選びの重要な出発点になります。証券会社のスクリーニング機能を使えば、利回り4%以上のREITを簡単に見つけることができます。ただし、注意点もあります。利回りが異常に高い場合、投資口価格が下落している(人気がない)だけの可能性もあります。なぜ価格が下がっているのか、そのREITが安定して分配金を出し続けられるのか(FFOなどを確認)をセットで分析することが、安定したインカムゲインを得るためには不可欠です。

一緒に覚えたい!関連用語(分配金利回り, 法人税繰延効果)の解説

  • 分配金利回り:投資した金額に対して、1年間でどれくらいの分配金が受け取れるかを示す割合。REITの収益性を測る基本的な指標です。
  • 法人税繰延効果:導管性要件(利益の90%超を分配するなど)を満たすことで、REITの法人税が実質的に免除される仕組み。高い分配金を実現する源泉です。

テーマ5:ポートフォリオ - 投資ポートフォリオにおけるREITの位置づけ

ポートフォリオとは?- まずは基本を1分で理解

ポートフォリオとは、投資家が保有している株式、債券、不動産(REIT)、預金といった様々な金融資産の組み合わせや一覧のことです。よく「資産の買い物かご」に例えられます。どのような商品を、どのような割合でかごに入れるかを考えることが、ポートフォリオを組むということです。

なぜ重要?ポートフォリオが投資判断の武器になる理由

投資の世界には「卵は一つのカゴに盛るな」という有名な格言があります。これは、すべての資産を一つの投資対象に集中させると、それが値下がりした時に大きな損失を被ってしまうため、複数の異なる資産に分けて投資(資産分散)すべきだ、という意味です。REITの価値は、主に不動産市況や金利の動向に影響を受けます。これは、景気や企業業績に影響されやすい株式や、金利動向に素直に反応する債券とは、少し異なる値動きをする傾向があります。そのため、ご自身の資産全体(ポートフォリオ)にREITを組み入れることで、株式や債券とは異なる値動きをする傾向があるため、資産分散効果が期待できます。ポートフォリオ全体のリスクを抑え、より安定的なリターンを目指す上で非常に有効な戦略なのです。

図解で学ぶ!ポートフォリオの考え方と目安

考え方: ポートフォリオに「正解」はありません。ご自身の年齢、投資目標、リスクをどれだけ受け入れられるか(リスク許容度)によって最適な組み合わせは異なります。

目安: 一般的な例として、以下のような資産配分(アセットアロケーション)が考えられます。
・安定運用型:国内債券50%、国内株式20%、外国株式20%、REIT10%
・積極運用型:国内株式30%、外国株式40%、REIT20%、国内債券10%
初心者の方は、まずはご自身の資産全体の5%~10%程度を目安にREITを組み入れてみてはいかがでしょうか。

実践!ポートフォリオを投資にどう活かすか

現在、ご自身が株式の投資信託しか持っていないとします。これは、ポートフォリオが株式に偏っている状態です。ここにJ-REITを組み入れることで、資産の分散が図れます。例えば、株価が下落する局面でも、REITは安定した賃料収入を背景に価格がそれほど下がらなかったり、逆に上昇したりすることもあります。このように、異なる動きをする資産を組み合わせることで、資産全体の値動きをマイルドにし、精神的にも安心して長期的な資産形成を続けることができるのです。

一緒に覚えたい!関連用語(資産分散, J-REIT)の解説

  • 資産分散:投資対象となる資産(アセット)の種類や、投資先の国・地域を複数に分けること。リスク管理の基本中の基本です。
  • J-REIT(日本版REIT):日本の不動産を投資対象とし、東京証券取引所に上場しているREITのことです。私たちが証券会社を通じて売買するREITは、このJ-REITが中心となります。

まとめ:重要ポイントの振り返り

今回はREIT投資を成功させるための5つの必須用語を解説しました。最後に重要なポイントを振り返りましょう。

  • FFOはREITの「現金を生み出す力」を見る指標で、分配金の安定性を測る上で重要。
  • NOI利回りは運営コストを考慮した「不動産の実質的な収益力」を評価する指標。
  • NAVP/NAV倍率でREITの「資産価値に対する割安・割高」を判断できる。
  • 分配金の高さはREITの魅力。背景にある「法人税繰延効果」の仕組みを理解しよう。
  • ポートフォリオにREITを組み込むことで、株式や債券だけでは得られない「資産分散」効果が期待できる。

これらの指標を使いこなせれば、もうREIT投資は怖くありません。ぜひ実際の銘柄分析に役立てて、賢い資産形成を実現してください。

免責事項

本記事で提供される情報は、教育および情報提供を目的としたものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。記載された内容は、記事作成時点での情報に基づいています。

また、本記事は特定の金融商品の購入や売却を推奨、勧誘するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

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