マーケットニュース

皆様、こんにちは!2025年7月17日の金融市場は、世界経済の「乖離」を象徴するような一日となりました。マクロ経済全体には減速の暗雲が垂れ込める一方で、AI(人工知能)を起爆剤とするテクノロジー分野では力強いブームが続いています。米国の根強いインフレ、中国経済の構造問題、そして日本の直面する逆風など、複雑に絡み合う要因が市場の方向性を一層不透明にしています。本日は、この複雑な市場を読み解くための5つの重要なニュースを深掘り解説していきます。

マーケット概況(2025年7月17日)

本日の市場は、世界経済の多面的な課題を映し出す展開となりました。米国では、先日発表された6月の消費者物価指数(CPI)が依然として高い水準で推移していることを受け、FRB(連邦準備制度)による早期利下げ観測が大幅に後退しました。市場はインフレの粘着性を強く意識しており、金利の高止まりが長期化するとの見方から、米国債利回りは上昇し、ドル高が進行しています。中国市場では、第2四半期のGDP成長率が目標圏内を維持したものの、内需の弱さや不動産市場の不振といった構造的な問題が重くのしかかっています。一方、日本市場は、米国の保護主義的な通商政策と中国の景気減速という二重の逆風にさらされ、上値の重い展開が続いています。このように、各国の経済状況や政策の方向性が乖離する中で、AI関連の半導体セクターだけが活況を呈するという「二極化」の様相が鮮明になっています 。

米CPIの高止まり、FRBの利下げ期待が後退

7月15日に発表された米国の6月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で総合指数が2.7%、エネルギーと食品を除くコア指数が2.9%の上昇となり、インフレの根強さを改めて示す結果となりました。特に、サービス価格や関税の影響を受けやすい品目の価格上昇が目立っており、インフレがFRBの目標である2%を安定的に上回る「粘着性」を持っていることが明らかになりました。この結果を受け、市場では年内の利下げ期待が急速に後退し、FRBはインフレ抑制のためにタカ派的な姿勢を維持せざるを得ないとの見方が広がっています。これは、政府の通商政策がインフレ圧力の一因となる中で、金融政策だけで物価をコントロールすることの難しさを示しており、FRBは非常に難しい舵取りを迫られています。

中国GDP、安定成長の裏に潜む内需の課題

中国国家統計局が発表した2025年第2四半期のGDPは、前年同期比5.2%増と、政府目標である「5%前後」の範囲内に収まり、表面上は安定を保っているように見えます。しかし、その内訳を見ると、深刻な構造問題が浮き彫りになります。個人消費の伸びは期待外れに終わり、不動産市場の低迷も続いており、経済の牽引役であるべき「内需」が著しく不足している状況です。この内需の弱さを補うため、中国は製造業と輸出への依存を強めており、結果として過剰な生産能力が世界市場に流れ込み、デフレ圧力と貿易摩擦を助長する要因となっています 。中国経済の真の回復には、消費主導型経済への転換が不可欠ですが、その道のりは依然として険しいと言わざるを得ません。

世界経済に減速の暗雲、貿易摩擦と政策の不確実性が影を落とす

IMF(国際通貨基金)、世界銀行、OECD(経済協力開発機構)といった主要な国際機関は、揃って2025年の世界経済の成長が減速するとの見通しを示しています。世界銀行は2025年の成長率を2.3%と予測しており、これは大幅な下方修正です。この減速の主な原因は、景気循環的なものではなく、世界的な貿易摩擦の激化や、予測が困難な政策の変更といった「人為的」な要因です。特に、主要国間の関税の応酬は、企業の投資意欲を削ぎ、グローバルなサプライチェーンを混乱させ、世界経済全体の重石となっています。地政学的な緊張も相まって、世界経済は「重大な岐路」に立たされており、先行き不透明感は払拭されていません。

逆風下の日本市場、海外勢の売り越しと構造改革の遅れ

日本経済は、2025年に0.7%前後の低成長にとどまると予測されており、厳しい状況が続いています。主な要因は、悪化する世界的な貿易環境です。米国の関税政策は日本の主要産業である自動車輸出に直接的な打撃を与え、最大の貿易相手国である中国の景気減速も需要の低下につながっています。国内では、賃上げは実現したものの、それを上回る物価上昇が実質賃金を押し下げ、個人消費の足かせとなっています。こうした中、これまで日本株を買い越してきた外国人投資家は、円キャリートレードの解消やAI関連株の利益確定を背景に、売り越しに転じています。外部環境の悪化が、日本経済と市場の双方に重くのしかかっている構図です。

市場の光明、AIが牽引する半導体セクターの空前の活況

世界経済の暗い見通しとは対照的に、半導体産業は空前のブームに沸いています。2025年の市場規模は前年比で10%以上成長し、7,000億ドルに迫ると予測されています 。この力強い成長の原動力となっているのが、人工知能(AI)です。データセンターやクラウドインフラ、さらにはPCやスマートフォンへのAI機能搭載のために、高性能な半導体への需要が爆発的に増加しています 。このAIという強力な構造的トレンドが、マクロ経済の周期的な減速という逆風をものともせず、半導体セクターを力強く牽引しています。現在の市場は、景気動向に敏感な伝統的産業と、技術革新がもたらす長期的な成長ストーリーを持つセクターとで、明確な二極化が進んでいることを示しています。

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