マーケット概況(2025年06月19日)
昨日の米国市場は、FOMCを目前に控えた警戒感と、5月小売売上高の予想以上の減少を受けて、主要株価指数が下落しました。ダウ平均株価は前日比150ドル安、S&P500指数も0.8%下落し、ナスダック総合指数も軟調な展開となりました。特に、消費関連銘柄の売りが目立ち、景気減速懸念が改めて意識されました。為替市場では、ドル円は145円台前半で推移し、やや円高方向に振れました。米国債10年物利回りは、FOMCの結果を見極めたいとの思惑から、小幅な動きにとどまりました。原油価格は、イラン情勢への懸念から、上昇基調を維持しています。市場全体としては、FOMCにおけるドットチャートやパウエル議長の記者会見の内容に注目が集まっており、神経質な展開が続いています。
米国小売売上高、予想外の減少で景気後退懸念高まる!
5月の米国小売売上高は、前月比0.9%減と市場予想を下回り、1月以来の大幅な減少となりました。自動車購入の落ち込みが顕著であり、高インフレと金利上昇による家計への圧迫が消費支出を抑制している可能性が示唆されています。この数字は、米国経済の減速を示唆するものであり、今後の景気動向に暗い影を落とす可能性があります。特に、個人消費は米国GDPの約7割を占めるため、小売売上高の減少は景気後退リスクを高める要因として警戒が必要です。市場では、FRBの利上げ継続に対する懸念が後退する一方、景気後退懸念が強まり、株式市場は下落しました。
FOMC目前!タカ派サプライズはあるか?
6月19日に開催されたFOMCでは、政策金利の据え置きが決定されました。しかし、市場の焦点は、今後の金融政策の方向性を示すドットチャートに移っています。もしドットチャートがタカ派的な見通しを示せば、市場は金利上昇への警戒感を強め、株価や債券価格に影響を与える可能性があります。パウエル議長の記者会見での発言にも注目が集まっており、今後の金融政策に関するヒントを探ろうとする市場参加者の動きが活発化しています。
トランプ大統領、イランへの強硬姿勢で地政学リスク上昇
トランプ大統領はイランに対し、核開発の完全放棄と無条件降伏を要求しました。また、イスラエルによるイラン攻撃に米国が参戦する可能性も示唆し、中東情勢の緊迫化が懸念されています。この発言は、市場に地政学リスクの高まりを示唆し、原油価格の上昇やリスク回避的な投資行動につながる可能性があります。投資家は、今後の情勢展開に注意を払う必要があります。
日米関税交渉、進展なしで依然として不透明感
日米間の関税交渉は進展が見られず、追加関税のリスクは依然として残っています。今後の交渉の行方によっては、市場に大きな影響を与える可能性があるため、引き続き注視が必要です。特に、自動車産業への影響が懸念されており、関連企業の業績や株価への影響が警戒されています。
中国、デジタル人民元の国際利用促進でドル覇権に挑戦か?
中国人民銀行総裁は、デジタル人民元(e-CNY)の国際利用促進計画を発表し、多極的な国際通貨システム構築を呼びかけました。これは、ドル中心の国際通貨システムへの対抗策と見られており、今後の国際金融秩序に大きな影響を与える可能性があります。デジタル人民元の普及が進むにつれて、国際決済におけるドルの地位が低下する可能性があり、世界経済のパワーバランスに変化が生じる可能性も考えられます。