
こんにちは!ファイナンシャル・プランナーの鈴木です。株式投資を始めようと証券会社のアプリを開いてみたものの、「PER」「PBR」といった謎のアルファベットが並んでいて、そっと画面を閉じてしまった経験はありませんか?「なんとなく良さそう」というフワッとした理由で株を選んでしまい、気づけば大切な資産が目減り…なんてことは絶対に避けたいですよね。
実は、これらの用語は、いわば「株の健康診断書」のようなもの。読めるようになれば、その会社が儲かっているのか、株価は割安なのかが一目でわかるようになります。特に今回解説する「PER」は、その中でも最も基本的で強力な指標です。この記事を読み終える頃には、あなたは「なんとなく」の投資から卒業し、自信を持って銘柄を選べるようになっているはずです。PERという武器を手に入れて、賢い投資家への第一歩を踏み出しましょう!
PER(株価収益率)とは?- まずは基本を1分で理解
PER(ピーイーアール、またはパー)を専門用語を使わずに一言でいうと、「会社の利益に対して、今の株価がどれだけ割安か(または割高か)を示す指標」です。Price Earnings Ratioの略で、日本語では「株価収益率」と呼ばれます。
もっと簡単にイメージするなら、「会社の稼ぐ力に対する、市場からの人気度・期待度メーター」と考えてみてください。このメーターの数値が低いほど、会社の稼ぐ力に比べて株価が安く、つまり「割安」と判断できます。逆に、数値が高いほど、将来への大きな期待が込められていて「割高」と判断される傾向にあります。
例えば、あなたがリンゴ農家だとします。毎年100円の利益を出してくれるリンゴの木が2本あり、Aの木は1000円、Bの木は2000円で売られています。どちらがお買い得でしょうか?もちろん、同じ利益を生むなら安いAの木ですよね。この「何年分の利益で元が取れるか」という考え方がPERの基本的な概念です。Aの木は10年分(1000円÷100円)、Bの木は20年分(2000円÷100円)の利益で買えることになり、この10倍、20倍というのがPERにあたります。
なぜ重要?PERが投資判断の武器になる理由
PERを理解することが、なぜあなたの投資判断を劇的に向上させるのでしょうか?理由は大きく3つあります。
- 客観的なモノサシが手に入る
「この会社の株価は高いのかな?安いのかな?」という疑問に対して、PERは客観的な答えを与えてくれます。「なんとなく」や「周りが買っているから」という曖昧な理由ではなく、「PERが低いから割安だ」という明確な根拠を持って投資判断ができるようになります。 - 同業他社と比較できる
例えば、自動車業界のA社とB社のどちらに投資するか迷ったとき、PERを比較することで、どちらが相対的に割安かを判断する材料になります。業界が違えばPERの平均値も変わるため、同じ業界のライバル企業と比較することが非常に重要です。 - 企業の成長性への期待がわかる
PERが高いということは、それだけ多くの投資家が「この会社は将来もっと利益を出すはずだ」と期待してお金を出している証拠でもあります。そのため、一概に「PERが高い=悪い株」とは言えません。ITベンチャー企業のように急成長が見込まれる会社のPERは高くなる傾向があります。PERを見ることで、その企業が「安定的な割安株」と見られているのか、「将来性豊かな成長株」と見られているのかを読み解くヒントになります。
図解で学ぶ!PERの計算方法と目安
PERの計算方法はとてもシンプルです。この式さえ覚えておけば、あなたも企業の割安度を自分でチェックできます。
計算式: PER (倍) = 株価 ÷ EPS (1株当たり利益)
目安:
- 10倍以下: 一般的に「割安」と判断されることが多い水準です。
- 15倍前後: 日本市場の平均的な水準とされることが多いです。まずはこの数値を基準に考えてみましょう。
- 20倍以上: 一般的に「割高」と判断されることが多いですが、高い成長が期待されている銘柄である可能性もあります。
注意点: 上記はあくまで一般的な目安です。業界によって平均PERは大きく異なります。例えば、銀行や鉄鋼のような成熟産業はPERが低めに出やすく、ITやバイオなどの成長産業は高めに出る傾向があります。そのため、企業の過去のPER水準や、同業他社と比較することが大切です。
実践!PERを投資にどう活かすか
では、実際にPERをどう使えばいいのでしょうか。具体的なシーンを見ていきましょう。
シーン1:ライバル企業との比較
あなたが自動車メーカーの株を買おうとしていて、A社とB社で迷っているとします。
- A社: 株価 3,000円 / EPS 300円 → PER 10倍
- B社: 株価 4,000円 / EPS 200円 → PER 20倍
この場合、A社の方が稼ぐ力に対して株価が割安であると判断できます。もちろん、投資判断はPERだけで決めるべきではありませんが、強力な判断材料の一つになります。
シーン2:証券会社のアプリでチェック
あなたが使っている楽天証券やSBI証券などのアプリやウェブサイトには、必ず「銘柄詳細」や「企業情報」といったページがあります。その中にある「指標」や「業績」といったタブを開くと、PER、PBR、EPSなどの数値が一覧で表示されています。
気になる銘柄を見つけたら、まずこの指標ページを開くクセをつけましょう。そして、「この会社のPERは12倍か。業界平均と比べてどうだろう?」「去年よりPERが下がっているのは、株価が下がったからか、それとも利益が増えたからか?」といったように、数字の裏側を考えるトレーニングをすることが、投資家としてのレベルアップに繋がります。
一緒に覚えたい!関連用語(PBR, EPS)の解説
PERをより深く理解するためには、セットで覚えておきたい2つの重要な用語があります。それが「EPS」と「PBR」です。
EPS(1株当たり利益) - PERの土台となる「稼ぐ力」
EPS (Earnings Per Share) は、その名の通り「会社が1株あたり、どれだけの利益(純利益)を稼いだか」を示す指標です。PERの計算式(株価 ÷ EPS)の分母に使われる、非常に重要な数字です。
計算式: EPS (円) = 当期純利益 ÷ 発行済株式数
EPSが年々増加している企業は、事業が順調に成長している証拠です。逆にEPSが減少していたり、マイナス(赤字)だったりする企業は注意が必要です。PERを分析する際は、まずその土台となるEPSが安定してプラスであり、できれば成長しているかを確認することが大前提となります。
PBR(株価純資産倍率) - 会社の「底力」を測る
PBR (Price Book-value Ratio) は、「会社の純資産に対して、株価がどれだけ割安か(または割高か)を示す指標」です。日本語では「株価純資産倍率」と呼ばれます。
PERが「利益(フロー)」に対する株価を評価するのに対し、PBRは「純資産(ストック)」に対する株価を評価します。純資産とは、会社の総資産から負債を引いたもので、「解散価値」とも言われます。つまり、今会社をたたんだ場合に株主の手元に残る価値のことです。
計算式: PBR (倍) = 株価 ÷ BPS (1株当たり純資産)
PBRは1倍が基準とされます。PBRが1倍なら、株価と会社の解散価値が同じということです。もしPBRが1倍を大きく下回る(例:0.7倍など)場合、その会社の株をすべて買い占めて解散させた方が儲かる、という計算になり、極めて割安だと判断されることがあります。
PER(収益性)とPBR(資産性)の両方の視点から企業を分析することで、より多角的で精度の高い投資判断が可能になります。
まとめ:重要ポイントの振り返り
最後に、今日の重要なポイントを振り返っておきましょう。
- PER(株価収益率)は、会社の利益に対して株価が割安か割高かを示す指標。低いほど割安。
- PERは単独の数値で判断せず、同業他社や過去の自社の数値と比較して使うのが基本。
- EPS(1株当たり利益)はPERの計算の土台となる「稼ぐ力」を示す指標。EPSの成長が重要。
- PBR(株価純資産倍率)は、会社の純資産に対する株価の割安度を示す指標。1倍が基準となる。
- PER(収益性)とPBR(資産性)を組み合わせることで、企業を多角的に分析できる。
これらの指標を使いこなせるようになれば、あなたの株式投資は「ギャンブル」から「根拠のある資産形成」へと進化します。ぜひ、今日から気になる銘柄のPERをチェックしてみてくださいね!
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本記事で提供される情報は、教育および情報提供を目的としたものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。記載された内容は、記事作成時点での情報に基づいています。
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