
「国の借金が過去最大に」「大型の補正予算を編成」…ニュースでこんな言葉を聞いても、「ふーん、大変そうだね」と他人事だと思っていませんか?実はこれ、私たちの「給料」「貯金」「日々の買い物」に直結する、とても重要なお話なんです。
なぜ、政府は借金をしてまでお金を使うのでしょうか?そのお金は、一体どこから来て、どこへ消えるのでしょう?そして、回り回って私たちの生活にどんな影響を与えるのでしょうか?この記事では、まるで家計簿をチェックするように、国の財政の仕組みを5つのキーワードから解き明かします。この話が分かれば、政府の経済政策の裏側が見え、インフレや増税の波を乗りこなし、自分の資産を守るための「経済の目」が手に入ります。さあ、一緒にニュースの裏側をのぞいてみましょう!
国の「家計簿」をのぞいてみよう!~財政赤字と国債の正体~
まず、国の財政を「我が家の家計簿」に例えてみましょう。家庭には、給料などの「収入」と、食費や家賃などの「支出」がありますよね。国も同じです。主な収入は、私たちが納める税金(税収)。支出は、年金や医療などの社会保障費、道路や橋を作る公共事業費、教育費など多岐にわたります。
そして、この支出が収入を上回ってしまう状態、つまり「赤字家計」が「財政赤字」です。2023年度の日本の一般会計予算では、税収が約69兆円なのに対し、支出は114兆円。なんと約45兆円もの大赤字です。
さて、家計が赤字になったらどうしますか?多くの場合、貯金を取り崩すか、銀行からお金を借りますよね。国も同じで、この赤字を埋めるために借金をします。その時に発行するのが「国債」という名の「借金証書」です。「10年後に利子をつけてお金を返しますので、今、お金を貸してください」と約束する証書だと考えてください。この国債は、銀行などの金融機関や、私たち個人投資家が購入します。特に、税収不足を補うために発行される国債は「赤字国債」と呼ばれ、本来は法律で禁止されている禁じ手ですが、日本では長年「特例」として発行され続けているのが実情です。
なぜ借金してまでお金を使うの?~財政出動と補正予算の狙い~
「そんなに借金があるなら、節約すればいいのに!」と思いますよね。しかし、政府は時として、あえて支出を増やすことがあります。それが「財政出動」です。
これは、景気が悪い時に行われる経済のカンフル剤のようなもの。例えば、不景気でみんながお金を使わなくなり、モノが売れず、企業の業績が悪化し、給料が下がる…という悪循環(デフレスパイラル)に陥ったとします。そんな時、政府が「大規模な公共事業を発注します!」「全国民に給付金を配ります!」と宣言して、世の中にお金を流し込みます。すると、仕事が増えたり、人々が買い物をするようになったりして、経済活動が活発になることを狙うわけです。
また、年度の途中で予期せぬ事態が起こることもあります。大規模な自然災害や、新型コロナのようなパンデミック、急激な物価高騰などです。こうした緊急事態に対応するため、当初の予算とは別に追加で編成されるのが「補正予算」です。家計で言えば、「急に家族が入院して、予定外の医療費がかかった」という状況に似ています。この補正予算の財源も、結局は国債(借金)で賄われることが多く、財政赤字をさらに拡大させる要因となりがちです。
このままで大丈夫?財政の健康診断~プライマリーバランスの重要性~
借金を重ねる国の家計簿を見て、「この国、破産しないの?」と不安になりますよね。そこで、財政の健全性をチェックする重要な指標が「プライマリーバランス(基礎的財政収支)」です。
これは、非常にシンプルに言うと「借金の元本・利払いをいったん脇に置いて、その年の基本的な収入(税収など)だけで、支出(社会保障や公共事業など)を賄えているか?」を示す指標です。家計に例えれば、「住宅ローンの返済を除いた、毎月の給料だけで日々の生活費をカバーできているか?」ということです。
もしプライマリーバランスが赤字なら、それは「生活費すら新たな借金で補っている」という危険な状態。これでは、借金が雪だるま式に増えていく一方です。だからこそ、政府は「プライマリーバランスの黒字化」を財政再建の目標に掲げているのです。この目標が達成できれば、少なくとも新たな借金に頼らずに政策運営ができるようになり、将来世代への負担を少しでも減らす第一歩となります。
私たちの生活への影響MAP
これら国の財政状況は、私たちの生活に具体的にどう影響するのでしょうか?
【メリット(良い影響の可能性)】
- 景気対策:財政出動によって給付金が支給されたり、公共事業で雇用が生まれたりして、短期的に景気が上向くことがあります。
- 住宅ローン:現状、日銀が国債を大量に買い入れているため、市場金利が低く抑えられています。これにより、住宅ローンの金利も歴史的な低水準になっています。
【デメリット(悪い影響の可能性)】
- 将来の増税:積み上がった借金を返すためには、将来、消費税や所得税などの税率が引き上げられる可能性があります。
- 社会保障の削減:年金の支給額が減らされたり、医療費の自己負担割合が増えたりするなど、公的サービスがカットされる恐れがあります。
- 金利の上昇:もし日本の財政への信頼が揺らぎ、国債の買い手がいなくなると、金利が急騰するリスクがあります。そうなれば、住宅ローンや企業の借入金利も跳ね上がり、経済に大打撃を与えます。
- インフレと円安:国債を中央銀行が引き受ける形でお金を刷りすぎると、お金の価値が下がるインフレが進みます。また、国の信認低下は「円安」を招き、ガソリンや食料品など輸入品の価格が高騰します。
歴史に学ぶ、過去の失敗と日本の今
歴史を振り返ると、財政規律の緩みが国を揺るがした例は数多くあります。最近では、2010年頃に深刻化したギリシャの財政危機が有名です。放漫な財政運営で巨額の赤字を抱えた結果、国債が暴落し、事実上の財政破綻に陥りました。国民は、厳しい緊縮財政(公務員の削減や年金カットなど)を強いられ、長く苦しい時代を過ごしました。
一方、日本は巨額の借金を抱えながらも、なぜ今のところ破綻していないのでしょうか。その大きな理由の一つは、発行された国債の9割以上を、日本の銀行や保険会社、そして日本銀行といった国内の投資家が保有しているためです。海外の投資家に頼る割合が低いので、ギリシャのように海外から一斉にお金を引き揚げられて破綻する、というリスクは相対的に低いとされています。
しかし、これは決して安心材料ではありません。少子高齢化で国内の貯蓄が減っていけば、いつまでも国内だけで国債を消化し続けることは難しくなります。いわば、「今は身内で借金を回しているから大丈夫」という、危ういバランスの上に成り立っているのが現状なのです。
まとめ:未来を生き抜くための経済リテラシー
最後に、今日のポイントを振り返り、私たちがどう行動すべきかを考えてみましょう。
- 財政赤字とは、国の収入より支出が多い「赤字家計」の状態。
- 国債は、その赤字を埋めるための「国の借金証書」。
- 財政出動と補正予算は、景気対策や緊急事態対応でお金を使うことだが、借金を増やす要因にもなる。
- プライマリーバランスは、財政の健全性を測る「健康診断」の指標。
- 国の借金は、巡り巡って将来の増税や社会保障削減、インフレという形で国民が負担することになる。
これらの知識を持つことで、ニュースで政治家が「大型の経済対策」を語った時、その裏にある財源や将来への影響まで想像できるようになります。選挙の際には各政党の財政政策を比較検討し、賢い一票を投じることができます。そして何より、インフレや円安のリスクに備え、給料や預貯金だけに頼るのではなく、資産の一部を外貨や株式投資に向けるなど、自分自身の資産を守るための具体的な行動を起こすきっかけになるはずです。国の財政は、もはや他人事ではありません。あなた自身の未来を守るための「羅針盤」なのです。
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