こんにちは。ライフプラン・コンサルタントの佐藤です。人生100年時代と言われる今、50代、60代を迎え、これからの人生をどう豊かに歩んでいこうかと、ご自身の時間やお金、そして大切なご家族との関係について、じっくり考える時間が増えた方も多いのではないでしょうか。
「そろそろ、財産のことも考えないとな…」「でも、何から手をつけていいか分からない」「家族に切り出すタイミングが難しい」そんなお声をよく耳にします。特に「相続」という言葉には、少し複雑で、デリケートなイメージが伴うかもしれません。しかし、ご安心ください。この記事では、皆さまが抱える漠然とした不安を和らげ、家族の未来のために今できることを、一緒に一歩ずつ考えていきたいと思います。難しい専門用語は使わず、心に寄り添いながら、具体的な進め方をご案内しますね。
生前贈与とは? - 私たちの人生にどう関係するの?
「生前贈与」と聞くと、なんだか難しそう、あるいは「節税対策」といったイメージが強いかもしれませんね。もちろん、そうした側面もありますが、私はいつも「大切な人へ、元気なうちに『ありがとう』の気持ちを形にして贈ること」だとお伝えしています。
ご自身が汗水流して築き上げてこられた大切な財産。それを、ただ遺すだけでなく、お子さまの住宅購入の資金援助や、お孫さんの教育資金など、ご家族が本当に必要としているタイミングで役立ててもらうことができます。その笑顔を直接見ることができるのは、贈る側にとっても大きな喜びとなるはずです。
悲しいことに、財産をめぐって家族の関係がぎくしゃくしてしまう「争族」は、決して特別な家庭の話ではありません。その多くは、事前のコミュニケーション不足が原因です。生前贈与は、ご自身の想いを伝え、家族みんなで将来について話し合う、素晴らしいきっかけにもなるのです。
なぜ今考えるべき? - 知っておきたい3つの理由
「まだ元気だし、もう少し先でも…」と思われるかもしれません。しかし、今だからこそ考えていただきたい、大切な理由が3つあります。
理由1:知っておきたい、新しい贈与のルール
2024年から、贈与に関するルールが大きく変わりました。これは、私たちアクティブ世代の資産承継に直接関わる大切なポイントです。
- 毎年コツコツ贈与(暦年贈与)
毎年110万円までなら贈与税がかからないこの方法ですが、ルールが少し変わりました。万が一のことがあった際、亡くなる前7年以内に行われた贈与は、相続財産に持ち戻して計算されることになったのです(以前は3年でした)。つまり、より早めに計画を立てることが重要になりました。 - まとまった額を贈与(相続時精算課税制度)
こちらは、最大2,500万円までの贈与について、相続時に精算するという制度ですが、新たに年間110万円の非課税枠ができました。この枠内であれば、相続財産に加算されず、贈与税の申告も不要です。これにより、これまでより柔軟な使い方ができるようになりました。
どちらの制度がご自身に合っているか、じっくり検討する時間が必要です。
理由2:元気なうちに「想い」を直接伝えられるから
財産を渡すだけでなく、「このお金で、こんな風に幸せになってほしい」「家族みんなで仲良く暮らしてほしい」という願いを、ご自身の言葉で直接伝えられるのは、元気な今だからこそできることです。財産目録や遺言書だけでは伝わらない温かい気持ちが、家族の絆をより一層深めてくれるでしょう。
理由3:将来のもしもに備えるため
輝く世代の皆さまは、まだまだお元気で活動的な毎日を送られていることでしょう。しかし、誰しもいつか判断能力が低下する可能性はゼロではありません。認知症などになると、贈与契約のような法律行為が難しくなってしまいます。心身ともに健康で、ご自身の意思をはっきりと示せるうちに準備を始めることが、ご自身にとっても、ご家族にとっても、何よりの安心につながります。
あなたの状況に合わせてチェック!ケース別・やることリスト
「何から始めればいいの?」という方のために、3つのステップをご用意しました。ご自身の気持ちに一番近いところから始めてみてください。
【ケース1:まずは自分の気持ちと財産を整理したい方】
□ ステップ1:財産の見える化
預貯金、有価証券、不動産、生命保険など、ご自身の財産をノートに書き出してみましょう。おおまかで構いません。
□ ステップ2:想いを書き留める
誰に、何を、いつ、なぜ渡したいのか。エンディングノートなどを活用して、ご自身の気持ちを自由に綴ってみましょう。
【ケース2:そろそろ家族と話してみたい方】
□ ステップ1:きっかけ作り
誕生日や家族の集まりなど、和やかな雰囲気の時を選び、「これからのことで、少し話しておきたいことがあるんだ」と、優しく切り出してみましょう。
□ ステップ2:想いを伝える
財産の話だけでなく、「みんなに幸せでいてほしい」という愛情を伝えることが大切です。まずはご自身の想いを一方的に話すのではなく、ご家族の意見にも耳を傾ける姿勢で臨みましょう。
【ケース3:具体的な手続きを進めたい方】
□ ステップ1:贈与の記録を残す
「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、簡単なものでも「贈与契約書」を作成しましょう。銀行振込など、記録が残る形で行うのが安心です。
□ ステップ2:専門家を探す
贈与額が大きくなる場合や、不動産が関わる場合は、税金や手続きが複雑になります。下の「頼れる相談窓口」を参考に、専門家への相談を検討しましょう。
専門家はどこにいる? - 頼れる相談窓口と選び方
いざ準備を始めようとしても、一人で抱え込む必要はありません。それぞれの分野の専門家が、皆さまを力強くサポートしてくれます。
- 税理士:贈与税や相続税の計算、申告手続きなど、税金に関する専門家です。「どちらの贈与制度を使えばいい?」といった相談にも乗ってくれます。
- 司法書士:土地や建物など、不動産の名義変更(登記)手続きのプロフェッショナルです。
- 弁護士:家族間のトラブルを未然に防ぐための法的なアドバイスや、遺言書の作成支援など、法律の観点から支えてくれます。
- ファイナンシャル・プランナー(FP):お金に関する幅広い知識を持ち、皆さまのライフプラン全体を見据えた上で、最適な資産承継の形を一緒に考え、必要に応じて各専門家へ橋渡しをしてくれる存在です。
まずは、お住まいの市区町村が実施している無料相談会や、お取引のある金融機関の相談窓口を利用してみるのも良いでしょう。相談する際は、ご自身の想いや考えをしっかり伝え、親身に話を聞いてくれる、信頼できるパートナーを見つけることが大切です。
まとめ:心豊かな未来を描くための第一歩
今回は、アクティブ世代の皆さまに知っていただきたい「想いを伝える」生前贈与についてお話ししました。大切なポイントを振り返ってみましょう。
- 生前贈与は、単なる節税ではなく、家族へ感謝と愛情を形にして伝える大切なコミュニケーションです。
- 2024年からの新ルールにより、より計画的に、早めに準備を始めることの重要性が増しています。
- まずはご自身の気持ちと財産を整理することから始め、一人で悩まず専門家の力も借りましょう。
難しく考えすぎず、まずは「今日からできる小さな一歩」を踏み出してみませんか。例えば、エンディングノートを本屋さんで手に取ってみる。あるいは、次の週末、ご家族に「いつもありがとうね」と、改めて言葉で伝えてみる。そんな小さな行動が、ご自身の、そして大切なご家族の、心豊かな未来を描くための、確かな第一歩となるはずです。皆さまのこれからの人生が、より一層輝かしいものになるよう、心から応援しております。
免責事項
本記事で提供される情報は、記事作成時点のものです。税制、年金、法律などの制度は将来変更される可能性がありますので、必ず公式サイトや専門家にご確認ください。
また、本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品、法律、税務上のアドバイスを行うものではありません。個別の状況に応じた最終的な決定は、税理士、弁護士、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家にご相談の上、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

