こんにちは。ライフプラン・コンサルタントの佐藤です。これまで多くのアクティブな世代の皆様とお話する中で、「そろそろ、これからのことを家族と話さないと…」というお気持ちをよく伺います。しかし、お金や財産の話は、たとえ家族であっても、なんだか切り出しにくいものですよね。「何から話せばいいのか分からない」「かえって心配をかけてしまうのでは？」と、つい後回しにしてしまうお気持ち、とてもよく分かります。
でも、ご安心ください。これからの人生を豊かに、そして安心して過ごすための準備は、決して難しいものではありません。特に、ご自身の財産を大切なご家族へスムーズに引き継ぐための準備は、家族への「ありがとう」という想いを伝える、とても前向きな活動なのです。この記事では、2025年に向けて知っておきたい最新のルール変更点を踏まえながら、皆様が円満な未来を描くための「はじめの一歩」を、心を込めてご案内します。
「相続」や「生前贈与」って？- 私たちの人生にどう関係するの？
「相続」や「生前贈与」と聞くと、少し堅苦しく感じてしまうかもしれませんね。でも、これはご自身の人生の集大成である大切な財産を、「誰に」「いつ」「どのように」渡したいかという、温かい想いを形にするための仕組みです。
簡単に言うと、「相続」は、ご自身が旅立った後に財産がご家族などに引き継がれること。一方、「生前贈与」は、ご自身が元気なうちに、ご自身の意思で財産を誰かに贈ることです。
多くの方が、「まだ元気だから関係ない」と思われがちですが、実は元気な今だからこそ、ご自身の想いを直接伝え、ご家族の未来を思い描く時間を持つことができます。これは、財産を渡すということだけでなく、家族の絆を再確認し、深めるための素晴らしい機会にもなるのですよ。
なぜ今考えるべき？- 知っておきたい3つの理由
では、なぜ「今」このことを考えるのが大切なのでしょうか。それには、社会の変化に合わせた、知っておきたい3つの大切な理由があります。
理由１：2024年からの新ルールで「早めの対策」がより重要に！
実は、贈与に関するルールが2024年から大きく変わりました。特に知っておきたいのが、亡くなる直前の贈与の扱いです。これまでは、亡くなる前3年以内の贈与は相続財産に含めて計算されていましたが、2024年1月1日以降の贈与からは、この期間が段階的に「7年」に延長されます。つまり、より早くから計画的に準備を始めることが、結果的にご家族の負担を軽くすることにつながるのです。一方で、年間110万円まで非課税で贈与できる「相続時精算課税制度」という仕組みも使いやすくなりました。このように制度が変わる今だからこそ、ご自身の状況に合った方法を知っておくことが賢明です。
理由２：「想い」を確実に伝え、家族の安心を守るため
もし、何も準備をしていないと、残されたご家族が「お父さん（お母さん）はどうしたかったんだろう？」と悩んでしまうかもしれません。財産の分け方をめぐって、大切な家族の関係がぎくしゃくしてしまう…そんな「争族」は、誰にとっても避けたいものですよね。ご自身が元気なうちに、「この財産は、〇〇の夢のために使ってほしい」「みんなで仲良く分けてほしい」といった想いを、遺言書や家族への手紙という形で残しておくことで、ご家族は安心して前に進むことができます。
理由３：ご自身の豊かな人生設計と両立させるため
人生100年時代、これからの人生もまだまだ長いです。趣味や旅行、新しい学びなど、やりたいこともたくさんおありでしょう。資産承継を考えることは、同時にご自身のこれからの人生に必要な資金計画を見直す絶好の機会でもあります。将来の医療や介護にかかる費用も考慮しながら、ご自身の豊かな暮らしと、家族への想いを両立させるための計画を立てることが、輝く世代の皆様にとって、今、とても重要になっています。
まずはここから！やることリスト
□ ステップ１：気持ちと財産の「棚卸し」
まずは、ご自身の想いを整理してみましょう。「誰に、何を、どのように遺したいか」を、エンディングノートなどに自由に書き出してみてください。同時に、預貯金、不動産、有価証券、保険など、現在どのような財産があるのかを一覧にしてみると、全体像が見えてきます。
□ ステップ２：家族と話す「きっかけ」づくり
「いきなり相続の話は…」とためらわれるなら、「これからの人生、みんなでどう楽しく過ごそうか」という前向きな話題から始めてみてはいかがでしょうか。「もしもの時のために、私たちの想いを伝えておきたくてね」と優しく切り出すのも良い方法です。大切なのは、一方的に決めるのではなく、家族みんなで未来を考える時間を持つことです。
□ ステップ３：専門家への相談を検討する
具体的な手続きや税金のことが気になったら、一人で悩まず専門家の力を借りましょう。お住まいの地域の税務署や市区町村役場、金融機関などで開催される無料相談会などを探してみるのも、最初のステップとしておすすめです。
専門家はどこにいる？- 頼れる相談窓口と選び方
「誰に相談すればいいの？」という疑問にお答えします。それぞれ得意分野が異なりますので、ご自身の相談したい内容に合わせて選ぶのがポイントです。
- 税理士：相続税や贈与税の具体的な計算、申告手続きなど、税金に関する専門家です。「うちの場合は税金がかかるの？」といった疑問に答えてくれます。
- 弁護士：遺言書の作成や、家族間の意見調整など、法的なサポートが必要な場合に頼りになります。法的に有効な形で想いを残したい場合に心強い味方です。
- ファイナンシャル・プランナー（FP）：ご自身のライフプラン全体を考え、資産運用から保険、相続まで、お金に関する幅広い視点で総合的なアドバイスをくれます。
- 信託銀行や金融機関：遺言信託や資産承継に関する具体的な商品・サービスについて相談できます。
良い専門家を選ぶコツは、「話しやすいか」「専門分野が合っているか」「費用について事前にきちんと説明してくれるか」の3点です。まずは気軽に話せる人を見つけることから始めてみてください。
まとめ：心豊かな未来を描くための第一歩
これからの人生を安心して、豊かに楽しむための準備についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。大切なポイントを振り返ってみましょう。
- 相続や生前贈与の準備は、ご家族への「感謝」と「愛情」を伝える前向きな活動です。
- 2024年からの新ルールを理解し、早めに計画を立てることが、ご家族の安心につながります。
- まずはご自身の気持ちと財産を整理し、家族と対話する時間を持つことから始めましょう。
- 一人で抱え込まず、必要に応じて専門家の知恵を借りることが、円満な解決への近道です。
今日からできる小さな一歩として、まずは、ご自身の想いをエンディングノートに一行でも書き出してみませんか？あるいは、次の週末、ご家族とお茶をしながら「これからの楽しみ」について話す時間を作ってみてはいかがでしょう。その小さな一歩が、あなたとあなたの大切なご家族の、心豊かな未来へとつながっていくはずです。
免責事項
本記事で提供される情報は、記事作成時点のものです。税制、年金、法律などの制度は将来変更される可能性がありますので、必ず公式サイトや専門家にご確認ください。
また、本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品、法律、税務上のアドバイスを行うものではありません。個別の状況に応じた最終的な決定は、税理士、弁護士、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家にご相談の上、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。
